血圧値 114/70/94 酸素飽和度98 % 体温 36.6℃ 体重 66.7キロ
この前の行人坂・大円寺の巡行の件で、大黒天の話題に触れました。
0550 起床 気分快 晴 目黒・行人坂巡行【見て・歩いて・よろこぶもの】⑩後編 インドから行人坂へ。大黒天の長い長い旅路とは。 - にこたろう読書室の日乗
シヴァを制圧するマハーカーラーは、『大いなる暗黒』を意味し、暗黒は時間を意味することから死神としての面も持っていて、非常に激烈な性格の神格である。
「カラ」すなわち「時間」の擬人化された存在であり、何にも拘束されない「時間」は慈悲を示さず、何もあるいは誰をも待つことはない。それゆえに男であれ女であれ、子供でも動物でも、世界あるいは宇宙全体を容赦なく滅し尽くす。
なのですが、中国~日本に伝播する過程で、数奇な運命をたどりました。
密教に取り入れられてやや端にやられた感があり、日本に入るとなんと烏帽子をつけた優しい大黒天に進化します。
ところで、マハーカーラーのはもう一つ、紛らわしい進化の別ルートがあります。
前に触れて、結論を出していない、「青面金剛」。
0540 起床 気分快 曇 青面金剛を深読みする① とりあえず、お不動さんのような「明王」系の仏様に見えますね。 - にこたろう読書室の日乗
0540 起床 気分快 曇 青面金剛を深読みする② 奇病を流行させる鬼神から、改心して今度は逆に病気を撲滅する側に。日本での作例をいくつか。 - にこたろう読書室の日乗
600 起床 気分快 晴 青面金剛を深読みする③ 青面金剛夜叉(まだ悪者のころ)が流行らせた「奇病」とは何なのか? - にこたろう読書室の日乗
マハーカーラーの「容姿」をおさらいすると。
全身青みがかった黒色で3つの目と4本の腕を持ち、4本の腕の内一本には刀剣型の武器を、一本には斬り取った生首を持っており、チャクラを開き、牙をむき出しにした口からは長い舌を垂らし、髑髏ないし生首をつないだ首飾りをつけ、切り取った手足で腰を飾った姿で表される。絵画などでは10の顔と6本から10本の腕を持った姿で描かれることもある。
こちらは青面金剛の「容姿」。
三眼の憤怒相で四臂、それぞれの手に、三叉戟(三又になった矛のような法具)、棒、法輪、羂索(綱)を持ち、足下に二匹の邪鬼を踏まえ、両脇に二童子と四鬼神を伴う姿で現されるが、一般には、足元に邪鬼を踏みつけ、六臂(二・四・八臂の場合もある)で法輪・弓・矢・剣・錫杖・ショケラ(人間)を持つ忿怒相で描かれることが多い。 頭髪の間で蛇がとぐろを巻いていたり、手や足に巻き付いている場合もある。また、どくろを首や胸に掛けた像も見られる。 彩色される時は、その名の通り青い肌に塗られる。この青は、釈迦の前世に関係しているとされる。
つまり、青面金剛はマハーカーラーの進化形の一つである、ということです。
それが中国のいつか・どこかで庚申信仰と結びついた。
その要素をまといながら、大黒天と連れ立って日本の平安時代辺りに漂着した、ということになるのでしょうか。
そして、日本全国津々浦々に、庚申様の石塔として造られ、お祀りされることとなる。
気の遠くなるような、情念の遥かな道のり。
道の傍らにこんな石像を見止めたら、ちょっとそんなことを思い出してみるのも楽しいのではないでしょうか。
と、ここで終了しても良いかなと思ったのですが。
じつはまだ、さらに面倒なことが。
こんな感じ。
①日本にもインドのマハーカーラーの類義語を持つマカキャラ(摩訶伽羅)という尊格が存在し、東京都板橋区にある安養院には忿怒相で三面六臂の摩訶伽羅天坐像というマハーカーラーの特徴を兼ね揃えた仏像が存在する。
②降三世明王(ごうざんぜみょうおう)もまた「シヴァを殺すもの」である件。
四面八臂で、 正面の顔には眉間にも目があり三目となっています。四面とも眼を見開いてつり上がり、牙をむき出す顔は、炎のように逆立つ焔髪と共に、怒りを表しています。左右の第一手で独特の降三世印(小指を絡めて腕を交差させる)を結び、第二の右手は金剛杵、左手は金剛戟を持ち、第三の右手は矢、左手は弓、 第四の右手は刀、左手は索を持っています。左足下にヒンドゥー教の最高神でもあるシヴァと、右足下にその妃であるウマーを踏む、というのが典型的なスタイル。
これは東寺の像ですが、激しく踏まれているのがシヴァ夫妻。青面金剛と同じ三又戟(三又の鉾・ポセイドンのトライデントも有名)を持ってるところもかなり気になる。
もう嫌だ!
ということで、この話はここで一旦おしまい。
次項はしばらくありません。