にこたろう読書室の日乗

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0630 起床 気分快 曇 僕の分霊箱を開けてみる話④ 「ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調」 ワルター/コロンビア交響楽団。これが遺ったのは人類の奇跡です。

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いわゆる「第9」(ベートーヴェン作曲の)です。

 

クラッシック音楽を聴くよ、といえば、日本では昔からこの曲が大定番。

晦日の祝祭的風習ね!(「イ・ムジチの四季」と「運命/未完成」ていうのもあるけど)

 

小学生のための「ベートーヴェンってどんな人?」第1回|Triton Arts Network スタッフBLOG

 

これは世界的にはとても不思議な風習だろうけど、逆にこんなに国家国民を挙げて外国の音楽を熱狂的に演奏したり聴いたりするなんて、ちょっといい話、なのではなかろうか。

 

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前に書いたように、僕がたぶん最初に買ったLP盤は、「第9と新世界」のセットです。

新世界より」と訳すのかな。この曲、じつは作曲者ドボルザークの最後の交響曲で、やはり「第9」。

 

0630 起床 気分快 曇 僕の分霊箱を開けてみる話② なんといってもこの「箱」から。僕が最初に買ったLP盤とは? - にこたろう読書室の日乗

 

ベートーヴェンシューベルトドボルザークブルックナーマーラーも、規模の大きな曲を書いた後期古典派以降の交響曲作家は、不思議と10番を書けずに亡くなってます。

 

なんかジンクスなのかなあ。(ハイドンの100番越えみたいなのも特殊ですけどね)

 

マーラーは神経質だから、縁起を担いで9番に当たる曲に番号を振らずに「大地の歌」としたんだけど、そのあと9番書いたらやっぱり亡くなっちゃった!

 

 

僕の「分霊箱第1番」は、これ。

 

 

ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』

エミリア・クンダリ(ソプラノ)
ネル・ランキン(メゾ・ソプラノ)
アルバート・ダ・コスタ(テノール
ウィリアム・ワイルダーマン(バリトン
ウェストミンスター・シンフォニック合唱団
ウォーレン・マーティン(合唱指揮)
コロンビア交響楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)

録音時期:1959年1月19日&21日(第1楽章)、26日&29日(第2・3楽章)、4月6日&15日(第4楽章)
録音場所:ハリウッド、アメリカン・リージョン・ホール ニューヨーク、セント・ジョージ・ホテル、ボールルーム
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
SACD Hybrid
CD STEREO/ SACD STEREO

*第1~3楽章および第4楽章(管弦楽の部分)の4月15日のセッションはハリウッド、アメリカン・リージョン・ホールで、第4楽章で合唱と独唱が入る部分のセッションは4月6日、ニューヨーク、セント・ジョージ・ホテル、ボールルームで行われた。(メーカー資料より)

 

Beethoven: Symphony No. 9, Walter & ColumbiaSO (1959) ベートーヴェン 交響曲第9番 ワルター(詞字幕有) - YouTube

 

当時中学生だった僕が、武蔵小山レコード屋さん(最近こういうお店無くなりましたね)で、適当に選んだLP盤なんですが、これが大正解。

 

ナチスの迫害を逃れてアメリカに亡命したワルターユダヤ系でした)が、自身の膨大なレパートリーを、そのレコード録音専用に編成してもらった楽団を自由に使って、当時としては最新の技術でステレオ録音した、究極の文化遺産です。

 

これが遺ったのは人類の奇跡です。良かった。

 

今回CDで最終リマスターして、さらに先鋭な感じになりました。(LP盤の音も良かったけど)

 

とくに第1楽章の、悠々とした迫力と造詣の深さ。

 

冒頭の、宇宙の深淵をあらわすような弦楽器のトレモロとホルンの持続音にのせて、天空から降ってくるような調性の長短が不明な断片的動機が空虚五度の和音で提示され、それが発展して第1主題になるという、ロマン的な動機の展開手法は非常に斬新。

 

譜面でいうと「ミ~ラ、ラ~ミ」ていうやつですね。完全5度だけど和声の第3音が欠けているために長調なのか短調なのかまだ分からない。

 

つまりこれから何が起こるのか、混沌としている感じ。

 

 

そのあとにつづく、ついにニ短調という態度が決定して動き出す、巨大な質量のかたまりが咆哮するような壮大な音楽。

 

こういう音楽は、西洋の音楽の歴史では初めての試みでした。

(冒頭に示したモティーフを徐々に積み上げて展開していく、というスタイルの萌芽は、すでに3番とか5番の交響曲からみられると思うけど)

 

終楽章の「合唱」(シラーの喜びの歌ね)の部分がやたら有名ですが、この曲は全体を構造として感じないとね。

 

交響曲に声楽が使用された曲は以前にもありましたが、効果的に声楽を使った初めての作品だし。声楽だけではなく、シンバルやトライアングルなどのこれまで交響曲では余り使われなかった打楽器も使用しています。

 

ほんと、ヨーロッパ近代音楽のひとつの到達点にして始発点みたいな曲です。

 

「音楽」をこうして「言葉」で表現しようとするのはちょっと無理をしている気持ちになるのでもうやめますが、ともかくなにかとてつもないものの存在に、当時の中学生は撃たれたわけです。

 

ここから、ベートーヴェンの全交響曲に出会い、驚き、そのあとはマーラーブルックナーなんていう「ませた音楽」にはまったりして、僕の音楽分霊箱を探す旅は始まるのでした。

 

「第9」もその後、いろいろな指揮者/楽団の演奏を聴くようになって、実演とかにも行くようになり、そのたびに新しい驚きと発見がありました。

 

これとかね!

 

 

バイロイトの第九』。

 

この辺りに脱線すると今日のブログは終わらないので自粛しますが、僕にとっての「第9」分霊箱は、いまでも80%がワルターで、フルトヴェングラーが10%、その他が10%でできている、という感じかな。

 

最近はマケラさんなんかが乱入しつつあるけど。

 

0400 起床 気分快 晴 たまには音楽の話をします。僕がこの50年間で聴いてきた「第9」の中で、おそらく空前絶後の演奏だと思います。 - にこたろう読書室の日乗

 

0430 起床 気分快 晴 マケラの「第9」について、もう一点。ベートーヴェンの楽譜の版について。 - にこたろう読書室の日乗

 

それでは、また。