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以前、「遷都」について触れましたが、ちょっと似てる言葉が「遷宮」。
0600 起床 気分快 雨 「遷都」は何のため? 聖武天皇は何かに憑かれたように、生涯に何度も繰り返しました。 - にこたろう読書室の日乗
伊勢神宮の例が有名ですね。
天照大神を祭神とする内宮、豊受大神を祭る外宮ともに、20年ごとに、社殿を新しく造営し祭神を遷座してきました。もう1300年続いています。
広い神社のエリアの中で、お宮をあるスパンごとに場所を移して建て替える。「式年遷宮(しきねんせんぐう)」などと呼びます。
遷都は、巨大都市がまるごと移設されるわけですが、遷宮は限られたエリアの中で、ある中心的な建物だけがミニマムに移動する。移動と言っても、このようにすぐ隣に新しいものを造るので、コピー&ペーストのようなものですね。
あたかもDNAがコピーを繰り返して、生命を再生・保存・継承してゆくように。
具体的には、こんな感じ。
伊勢神宮において、御神体を新宮に移すために20年に一度行われ社殿と神宝・装束のすべてを一から新しく造り替える「式年遷宮」。
飛鳥時代に天武天皇が定め、持統天皇が690年に実施したのが第1回。その後、戦国時代に約1世紀もの間中断されたり、それ以外にも何回かの延期があったものの、現在まで1300年以上にわたって続いています。2013年(平成25年)に行われた第62回が直近で、次回は2033年に予定されています。
何と言ってもまず驚かされるのはそのプロジェクトの壮大さです。伊勢神宮における中心的な社殿には、内宮(ないくう)と呼ばれる皇大神宮(こうたいじんぐう)と、外宮(げくう)と呼ばれる豊受大神宮(とようけだいじんぐう)がありますが、これ以外にも14の別宮などがあり、合計で170を超える建物が20年ごとにすべて建て替えられます。木造建築ですが、建て替えにあたり使われるひのきの本数は約1万数千本にもなると言われます。屋根に使われる萱葺は直径約40cm、重さ約30kgの束が約2万3000束使用されるそうです。
損得ではない。
いろいろな負担と犠牲を払っても、無駄のように見えても、聖域をまるごと移すこと自体に意味がある。あると信じる。
そこにある強い情念を、僕たちは感じざるを得ません。
聖武天皇の遷都に対する情念もまた、思い出されます。
もうひとつ、現実的な問題として、現役の「聖地」が、つねに新品に更新されていくことの意味もあるでしょう。
神殿というと世界では通常、パルテノン神殿やピラミッドのような石造建築物が主流であり、これらは経年劣化して遺跡となっていきます。
しかし、伊勢神宮は独特であり、式年遷宮によって20年ごとに社殿や工芸品が完全に新たに造り変えられるため、古いけれども最新であり、「過去」ではなく「現在」であり続ける点が特徴です。
また、建築と美術工芸の両分野において、伊勢神宮は技術が新しい世代に受け継がれる重要な役割も果たしています。言い換えれば、過去の職人と現代の職人が協力し、永遠の美を創り出すための壮大な共同作業が行われているとも言えるでしょう。