血圧値 126/81/63 酸素飽和度 98% 体温 36.0℃ 体重 68.6キロ
「いやぁ、実は今の時間の上映はお客さんが0でした。厳しいなぁ」
「うちの館ではイベントにも力を入れていますが、平日のお客さんをいかにコンスタントに呼ぶか、というのはずっと課題なんです」
故郷にUターンして古い映画館を受け継いだ若き支配人のお言葉です。
このご時世、自主上映の映画館、やりくりは大変ですよねえ。
上映中なのに無人の映画館の客席、ってのも哀しいなあ。
シチリアつながりで、『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い出して、さらにこの若き支配人さんを思いだしたのでした。
「平日に息抜きに映画館に来るってことが、もっと当たり前になってほしいです。そのためには、すごく遠回りに聞こえるかもしれないけれど、日本人は働きすぎ。大人がもうちょっと自由に休みが取れるようになるといいですね」
この映画、オリジナルの長編版(ディレクターズ・カット版)と、劇場公開版が、まったく違うニュアンスであるのが不思議な作品。
むしろ、別の映画だと思えるくらいです。
昔、劇場公開のものを観た人は、たぶんびっくりします。
「観なければよかった」という感想もあるくらい!
オリジナルの評判があまり良くなかったので、興行の集客を考えて大幅なカットを行った、といういきさつがあるのです。
そして視聴する年代によって思うことが変わってくる『ニュー・シネマ・パラダイス』。
今の皆さんは、どちらが好みでしょうか?
まだ観ていないという人は、ぜひ劇場公開版を先に観ることをお勧めします。
ファンタジーを愉しむことができるから。
(推理小説の解答部分をうっかり先に読んじゃったみたいな、やらかし感があるかも)
良い子は、おとなになってからオリジナル版を観たほうが、人生の深みを体験することができると思います。
つまり、二度美味しい。
何を言ってるのかわからないかもですが。
うっかり間違えないように、上映時間を確認しましょう。
劇場版(SUPER HI-BIT EDITION デジタル・リマスター版)124分
完全オリジナル版(ディレクターズ・カット版)173分
50分もちょん切ったのです!
つまり、オリジナル版は「しゃべりすぎている!」、ということかな。
☆
シチリアの小さな村を舞台に映写技師と少年の心あたたまる交流を、あふれる映画愛とともに描いた不朽の名作。
映画監督として成功をおさめたサルバトーレのもとに、老いたアルフレードの死の知らせが届く。
彼の脳裏に、「トト」と呼ばれた少年時代や多くの時間を過ごした「パラダイス座」、映写技師アルフレードとの友情がよみがえってくる。
シチリアの小さな村の映画館を舞台に、映画に魅せられたサルバトーレの少年から中年に至るまでの人生を3人の役者が演じる。
アカデミー外国語映画賞やカンヌ映画祭審査員特別グランプリなど、各国で賞賛を浴びた。
1989年製作/124分/PG12/イタリア・フランス合作
原題:Nuovo Cinema Paradiso
劇場公開日:1989年12月16日
みんなからトトと呼ばれている少年サルヴァトーレ(ジャック・ペラン/幼少期・サルバトーレ・カシオ/青年期・マルコ・レオナルディ)は、小さな村に住んでいた。
村の唯一の娯楽は映画であり、「パラダイス座」という映画館に人々は集っている。
トトも映画が大好きで、映写室に遊びに行くほど魅了されていた。
しかし、映写技師のアルフレード(フィリップ・ノワレ)は気難しい性格で、いつもトトを映写室から追い出していた。
最初は噛み合わない2人だったが、徐々に打ち解けていくトトとアルフレード。
そんな中、映画上映中にフィルムが燃えてしまい、劇場が火事になってしまう。
その後、パラダイス座は新設されるも、アルフレードは盲目になってしまい、幼いトトが代わりに投影技師として働くことに。
そして青年に成長したトトは更に映画へ没頭していき、自ら映画を撮るようになるが……。
「何をするにしても自分のする事を愛せ。子供の頃、映写室を愛したように」
原文(伊):「I want to hear talk about you. 」
英文:「love it like you loved that projection booth of the Paradiso when you were little…」
アルフレードの後押しを受け、トトは村を出る事に決めました。
そして旅立ちの時、駅で列車を待っている彼にアルフレードが贈った言葉です。
少年時代にトトが愛したものは、こっそり忍び込んで映写室から眺めた映画でした。
夢中になって好きなものを追いかけたあの時代、あの時の心をいつまでも忘れるなというメッセージが込められています。
このアルフレード役のフィリップ・ノワレって、『マーフィーの戦い』で、ピーター・オトゥールと一緒にUボートと戦った船長さんだったんですね。懐かしい。
中学生のころ渋谷の映画館で観ました。
映画の舞台となったシチリア島の「ジャンカルド村」は架空の村で、撮影はパラッツォ・アドリアーノで行われた。
現在でもこの村を訪れると映画に登場する広場や町並みを見学できる。
ただ山の中の小さな村なので、パレルモからも、カターニャからも、バスで随分な道のりのようです。
ちなみにムニチピオ脇のニューシネマパラダイス館にはカシオの従兄弟(Salvatore Dideo)他スタッフ数名が常駐し、申し出ればパラダイス座の客席として使われた教会内部、アルフレードの家(玄関)、トトの家(玄関)などを無償で案内してくれる。
村の一番の見所は、このニューシネマパラダイス博物館。
同村は内陸にあるため、海岸のシーンはチェファルやバゲリーア周辺、少年トトの通う学校はカステルブオーノ、トトとアルフレードの今生の別れとなった「ジャンカルド駅」はラスカリ駅 (it:Stazione di Lascari-Gratteri) で撮影された。
海辺のシーンが撮影されたチェファルは、夏は海水浴客がたくさん集まる海沿いのかわいい町だそうです。
シチリア島に行ったら、ぜひ訪れてみたい場所ですね。