にこたろう読書室の日乗

死なないうちは生きている。手のひらは太陽に!

0600 起床 気分快 晴 驚いたなあ。アレを勝ってしまう呪い。王座戦五番勝負第3局。

血圧値 115/75/62 酸素飽和度 98% 体温 36.4℃ 体重 67.7キロ

 

驚いたなあ。

 

第71期王座戦五番勝負第3局が27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で指され、藤井さんが先手の81手で大逆転勝利し、2勝1敗として全八冠制覇にあと1勝と迫った。早ければ10月11日の第4局で八冠となる。

 

元奨励会員アユムの将棋実況 王座戦第三局、奇跡の大逆転!藤井聡太七冠、驚異の終盤力であの永瀬王座相手にまさかの逆転(第71期王座戦五番勝負第三局  主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)の急上昇動画|YouTubeランキング さん

 

永瀬軍曹の考え抜いた作戦(9筋の歩を突き越す後手番雁木袖飛車)に対して、まんまと急戦に引き込まれるという窮地に陥った藤井さん。

 

これは軍曹用意の、㊙作戦でしょうねえ。

藤井さんに対して、後手で絶対に勝たなくちゃいけない状況。

この絶体絶命を振り切るための、究極の作戦は、実に意外なものでした。

 

 

この形が、袖飛車の急戦。飛車を一つ横に振るのですが、まあ、振り飛車の範疇ではない。居飛車のオプションです。

 

藤井さんは虚を突かれたように、軍曹の罠のなかに、ゆらゆらと取り込まれていきます。

 

藤井さんがあんまり考えることなく急戦で突っ込んでくることは、軍曹の想定のうちだと思う。(7八玉と船囲い風に寄った手が少し早すぎる。この形には袖飛車からの奇襲がある。古い将棋だけどね。藤井さん、この変化は軽視していたかも。)

 

まあ、優劣不明のままなんですが、やはり流れとしてはちょっとおかしい。

 

夕食休憩以後から、藤井さん、だんだん劣勢になって、かなり強引な勝負を余儀なくされる展開へ。

 

そこで、大事件。

 

形勢評価10%以下という、どう見ても負けそうな状況からの、歴史的な大逆転。

当然、軍曹に痛恨のミスがなければこうはならないわけですが。

 

 

飛車打ちの王手に、金底の歩を打っておけば普通は良さげな場面(たぶん。軍曹が強かったからここで迷ったというか魔が差したのだと思う。銀二枚の難しい攻撃を受け続けるので。)で、飛車を合わせた軍曹に対して、驚異の角打ち。

 

王座戦第3局の勝負手-藤井聡太竜王・名人vs永瀬拓矢王座

 

これが事実上の両金取りから、自玉をも安全にする一石三鳥のような大好手で、おしまいとなりました。

 

ただここは、金底の歩を仮に打てたとしても、その後は細い攻めが続きAI最善手だけが正解で、他は全て逆転、というような状況でした。

終わってからじっくり棋譜を確認すると、仮に3一歩だったとしても藤井竜王・名人が逆転したのではないか、という意見もあります。ということは2一の飛車を打たせたことが失着だったことになりますが。(ひふみんは、直前に軍曹が飛車を渡した変化が敗因と分析しています。さすがに鋭い。)

 

軍曹、この一瞬は一生忘れられないだろうなあ。

今後の人生、夢に何度も出てくる!

なんてこったい。

 

王座戦 速報】藤井聡太 第3局 永瀬拓矢 9時~ライブAI形勢判断 – ふわりと将棋

投了図。

 

 

コレを引っ張り出してしまう、あるいは「ひょっとしたらやられるのではないか」、と相手に信じさせてしまう「呪(しゅ)」のかけかた。

 

このあたりに、藤井さんの、常人を越えた恐るべき底力があるのではないか。

凡なる人間は、この無言の圧力の前に、おののくことになる。そして、間違える。

大山15世名人の得意技を、藤井さんは無意識のうちに体得してしまったのかな。

 

怖ろしい。

 

この超人的能力を駆使して、大山さんは六十九歳で亡くなるまで、一握りのトップ棋士だけが許されるA級の椅子に座り続けました。これは自身が記録した計八十期のタイトル獲得をもしのぐ、超人的な偉業といえます。

ひょっとして藤井さんは、コレを越えるのか?

 

ちょっと前、「藤井聡太の背中のチャックを開けると大山名人が出てくる」というジョークがあったけど、もはや笑えないなあ。

 

今回のこの衝撃的な逆転劇は、将棋界の歴史を変えてしまうような一局となるのでしょうか。