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シルクロードは、世界史上最も重要な交易路の一つであり、古代から現代にかけて、多くの人々を魅了し続けてきました。
異なる時代の旅行者、玄奘と平山郁夫、その二人の人生が、ここ薬師寺で交差しています。
「玄奘三蔵院伽藍 大唐西域壁画殿 特別公開」
これを観に来たのです。
順路に従って、玄奘塔の後ろ側に周ると。
ここに、平山郁夫画伯の描いた、シルクロードをテーマとした壁画が飾られているのです。
平山郁夫画伯が30年の歳月をかけて描いた壁画「大唐西域壁画」は、高さ2.2m、長さ49mの大壁画で、中国からインドまでの玄奘三蔵求法の旅を7場面に描いた壮大な作品です。
「特別公開」とありますので、ここは通常は拝観できない、ということなのでしょうか。
玄奘と言えば、この東博所蔵の絵があまりに有名で、ビジュアルが独り歩きしている感がありますね。
玄奘(Xuanzang)は、7世紀の中国の僧侶であり、彼のシルクロードの旅は仏教の信仰心と知識の拡大に大きな影響を与えました。
彼は中国からインドへの旅を決意し、経典や仏教の教義を学ぶために長い危険な旅に出ました。
玄奘の旅は、文化交流、言語習得、宗教の普及において革命的で、多くの仏典や古代の文献を中国に持ち帰り、仏教の理解を深めたことで知られています。彼の旅はシルクロードが文化と宗教の交流の場であることを示し、さらに広める役割を果たしました。
一方、平山郁夫(Ikuo Hirayama)は20世紀の日本の画家で、彼もまたシルクロードに魅了されました。
東京藝術大学で助手を務めていた1959年頃、原爆後遺症(白血球減少)で一時は死も覚悟したなか玄奘三蔵をテーマとする『仏教伝来』を描き上げ院展に入選。
以降、作品には仏教をテーマとしたものが多くなります。
仏教のテーマはやがて、古代インドに発生した仏教をアジアの果ての島国にまで伝えた仏教東漸の道と文化の西と東を結んだシルクロードへの憧憬につながっていきました。
1960年代後半からたびたびシルクロードの遺跡や中国を訪ね、極寒のヒマラヤ山脈から酷暑のタクラマカン砂漠に至るまでシルクロードをくまなく旅しています。その成果がこの玄奘三蔵院の壁画に結実しているわけです。
例によって写真撮影が禁止されていますので、公開されているものから引用します。
こんな風な構造の展示室になっています。
普通の額縁でなく、このようにお堂の壁画として嵌めこまれてみると、また独特の趣きが感じられますね。
玄奘の月命日には、この場所で法要が行われたりするようです。
平山郁夫の絵画は、シルクロードの風景や文化を日本と世界に紹介し、その魅力を広める一助となりました。彼の作品は歴史と芸術、自然と文化の交差点を表現し、シルクロードの美しさと多様性を称賛しました。
結論として、この二人は、異なる時代に生きた人物でありながら、シルクロードに魅せられ、その魅力を広める役割を果たしました。シルクロードは、文化交流、宗教の普及、芸術の創造など、多くの側面で人を惹きつける魅力的な場所であり、これからもその魅力は私たちを魅了し続けるでしょう。
このあと、ついでと言ってはなんですが、もう一つの重要な寺院、唐招提寺を訪ねます。
以下次号。