血圧値 131/89/72 酸素飽和度 98% 体温 36.2℃ 体重 68.6キロ
「蓄音機」とは、音を保管したレコード盤(いろいろな形状・材質がある)から音を再生する機械です。
その媒体であるレコード盤は、「音楽」という魂を吹き込んだ入れ物である、とも言えますね。
最近はデジタルデータをネットワークから配信する、なんていうシステムが主流になってしまって、こういう考え方が根幹から崩れ去りつつあります。
でも、一部で「レコード盤」が再評価されて、一種のアナクロニズムかもしれないけれども、別の道を模索しつつあることも事実です。(じつはデジタルより良い音がする、気がする。聴くほうが生物だからかも)
それはともかく、僕自身の場合を考えると、西洋音楽(クラッシック音楽という言い方はなんか馴染めないけど、ほかに適当な言い方があるわけじゃないからね)との出会いは、あの直径30cmほどの塩化ビニルでできてるLPレコードを、ステレオの再生機(あれ、何ていえばいいのかな、レコードプレーヤー?)で聴くことでした。
若い人は、これを見ると「クラブDJ」が回す道具ね、と分かります。
まあ、間違ってないんだけど、昔の人はこれでモーツアルトとか美空ひばりとか山口百恵とか、ブギウギとか聴いてたのですよ。
ああ懐かしいなあ。
だからこの黒い(一部赤いのもあった)円盤の1枚1枚の中には、「モーツアルトとか美空ひばりとか山口百恵とか、ブギウギとか」の音声データが封じ込められている。
媒体としては容量少ないし、重たいのもあるし、かさばるし、割れたりするし、針でひっかいて音出すから削れるし、そこそこ高価だし、まあ扱いにくいものだったのですね。
それでも、いろいろ買い集めて聴きました。
音楽聴くのは今と同じで愉しかったから。
「交響曲」とか「オペラ」なんていうジャンルはやたら1曲が長いから、大変。
LP1枚両面で収録時間は物理的に25分✖2ぐらい可能でしたが、あんまり溝を狭くすると音質が劣化するから難しい。
複数枚の組物にするんだけど、表裏をひっくり返さなくちゃだから、中途半端に両面に跨る場合が困るのです。
ベートーベンの「九番」の第3楽章が両面に分かれちゃう、とか。
なので、CDが開発されたとき、収録時間を決めるんだけど、ソニー副会長でCD開発事業を統括していた大賀典雄さんが、カラヤンさんの「第九が入らなくては」という一声で「74分」に決めたことは有名ですね。
演奏時間が一番長い「第九」を調査し、ヴィルヘルム・フルトベングラーが指揮した74分のものを最長と判断し、これが入るよう12cmに規格が決まったそうです。
☆
蓄音機ってほんと不思議な仕組みで、あのレコード盤にあんな音楽が刻まれているなんていうのは一種の魔法のようなものに思えました。
アナログな仕組みなのに、あんなに豊かな「音楽」を封じ込めることができる。
音楽の魂を別の何かに封じ込める魔法。
そこで思い出すのは、「分霊箱の魔法」。
あの禁じられた、不死の魔法、「ホークラックス」。
(ここから先、ハリポタのネタバレ注意!)
ご存じ『ハリー・ポッター』の物語で、あの「名前を呼んではいけない御方」が、魂の不死を得るために発動した禁断の魔法です。
この人にしか見えないんだけど、「似ていると言ってはいけない御方」なのかな。
「音程が悪いぞ!ポッター!」
杖曲げちゃってるところが怖いなあ。
Horcruxは、フランス語の「dehors」(=英:outside、外)と、「crux」(英語:要点、ラテン語:責め苦)を由来とする造語で、魔術を用いた人物の重要な部分(=魂)を苦しみとともに外へ出す、という意味。
自分の魂をいくつかに引き裂いて、「分霊箱」という容器に分割・保存する術です。これで不死身となれる。(全部を破壊されない限り)
「あの御方(別名:おじぎ)」は魔法界においての「最強の魔法数字」である「7」(六芒星の頂点と、中心の術者を併せた数字)に拘り、7回の分割を経ることで、本体と合わせて7つの魂に分割すべく6個の分霊箱を作成しようとしました。
(まあいろいろあって、7個もしくは8個できちゃったわけですが)
何を言いたいのかというと、「レコード盤」って「分霊箱」みたいだなあ、という感想です。
なので、次回から折を見て、僕の「分霊箱」をひとつずつ開封しながら、魂の思い出を辿ってみようかな、と考えたわけです。
以下次号。