にこたろう読書室の日乗

死なないうちは生きている。手のひらは太陽に!

0630 起床 気分快 晴 たまには推理小説を読みましょう。西村京太郎のトレインではないミステリー。

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だんだん晴れてきました。

お昼過ぎには21 ℃越えとか予報は言ってます。

激しく移り変わるお天気。

インフルエンザとか心配。

 

 

天気が激変。
時代も激変。

めまぐるしい世界の状況。

 

第2の「戦前」、ていうかロシアもイスラエルも、もう戦争状態です。

東アジアも不穏な情勢。

僕は大変な時期に、生き残ってしまったのでしょうか。

 

 


たまには推理小説を読みましょう。

 

浅草偏奇館の殺人

西村 京太郎 

 

 

「偏奇館」というと麻布にあった荷風の邸宅、これについては何回か触れましたが、ここでは戦前の浅草六区にあった芝居小屋の名前という設定。

 

昭和7年の浅草六区。レビューや芝居好きが高じ、天ぷら屋をたたんで芝居小屋『偏奇館』を始めた永井の親父さんの小屋で、文芸部員をする秋月(私)が主人公。

 

昭和7年は1932年で、満州事変の翌年です。

政治の実権を軍部が握り、戦争の足音が着実に忍び寄っている時代。

ていうか、もう戦争は始まっている!

 

ここから日本対中国・対欧米という2方面にわたる「15戦争」という長い戦争状態に突入します。

 

年毎にひとつだけ事項を挙げて、年表を作るとこんな感じ。

 

1932年の浅草六区には、そんな現実から逃避するように、芸人や踊り子が集まり、「エロ・グロ・ナンセンス」に酔うように、毎日劇場が大賑わい。

 

そんななかで、踊り子の京子が殺され、隅田川に浮かんでいるのが発見された。

 

先輩脚本家の中原は皆の反対を押し切り、「踊り子殺人事件」として舞台化し大成功をおさめるが、劇場の活気とは裏腹に、踊り子ふたりが次々と惨殺されてしまう。

 

京子18歳、早苗19歳、節子18歳。

ひとりは川に浮かび、ひとりは乳房を切り裂かれ、ひとりは公園の茂みの中に。事件の真相を尋ねて、私は50年ぶりに浅草を訪れたのだが…。

 

ライバルの芝居小屋のサトウハチローエノケンが出てきたり、川端康成の『浅草紅団』の話が出てきたり、当時の浅草六区の雰囲気がふんだんに盛り込まれていて、とても興味深く、ためにもなります。

ラストでは、あっと驚くどんでん返しがあります。ここには書けませんが。

 

 

この時代を揶揄するステロタイプのイメージ、「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉。

 

定義はこんな感じ。

 

エロ・グロ・ナンセンスとは、エロ(エロティック、煽情的)、グロ(グロテスク、怪奇的)、ナンセンス(ばかばかしい)を組み合わせた語で、昭和初期の文化的風潮を示す語である。

1930年(昭和5年)に、それまで使われていた「エロ・グロ」に「ナンセンス」を加えて使われはじめた流行語とされる。

時代としては、大恐慌が起こった1929年(昭和4年)ごろから、2・26事件が起こった1936年(昭和11年)ごろまでの期間に当たる。

 

面白いねこれ、今と同じじゃん。

 

やはり「戦前」という時代の雰囲気のメルクマールなんだなあ。

時代が戦争に向けて突進していく予感に対する、不安と焦燥、沈鬱と狂騒。

 

僕らの今の時代も、「ネオ・エロ・グロ・ナンセンス」は全開にして、王道ですからね! そして、新たな「戦前」の実質的なはじまり。

 

だから今、この第一の「戦前」の時代を詳細に検証しておくことは大事です。

 

僕が乱歩や荷風にこだわるのも、そんな気もちがあるからです。

 

この特集は、ためになります。