血圧値 125/87/91 酸素飽和度 98% 体温 36.6℃ 体重 67.6キロ
だんだん晴れてきました。
お昼過ぎには21 ℃越えとか予報は言ってます。
激しく移り変わるお天気。
インフルエンザとか心配。
☆
天気が激変。
時代も激変。
めまぐるしい世界の状況。
第2の「戦前」、ていうかロシアもイスラエルも、もう戦争状態です。
東アジアも不穏な情勢。
僕は大変な時期に、生き残ってしまったのでしょうか。
たまには推理小説を読みましょう。
浅草偏奇館の殺人
西村 京太郎
「偏奇館」というと麻布にあった荷風の邸宅、これについては何回か触れましたが、ここでは戦前の浅草六区にあった芝居小屋の名前という設定。
昭和7年の浅草六区。レビューや芝居好きが高じ、天ぷら屋をたたんで芝居小屋『偏奇館』を始めた永井の親父さんの小屋で、文芸部員をする秋月(私)が主人公。
昭和7年は1932年で、満州事変の翌年です。
政治の実権を軍部が握り、戦争の足音が着実に忍び寄っている時代。
ていうか、もう戦争は始まっている!
ここから日本対中国・対欧米という2方面にわたる「15戦争」という長い戦争状態に突入します。
年毎にひとつだけ事項を挙げて、年表を作るとこんな感じ。
1932年の浅草六区には、そんな現実から逃避するように、芸人や踊り子が集まり、「エロ・グロ・ナンセンス」に酔うように、毎日劇場が大賑わい。
そんななかで、踊り子の京子が殺され、隅田川に浮かんでいるのが発見された。
先輩脚本家の中原は皆の反対を押し切り、「踊り子殺人事件」として舞台化し大成功をおさめるが、劇場の活気とは裏腹に、踊り子ふたりが次々と惨殺されてしまう。
京子18歳、早苗19歳、節子18歳。
ひとりは川に浮かび、ひとりは乳房を切り裂かれ、ひとりは公園の茂みの中に。事件の真相を尋ねて、私は50年ぶりに浅草を訪れたのだが…。
ライバルの芝居小屋のサトウハチローやエノケンが出てきたり、川端康成の『浅草紅団』の話が出てきたり、当時の浅草六区の雰囲気がふんだんに盛り込まれていて、とても興味深く、ためにもなります。
ラストでは、あっと驚くどんでん返しがあります。ここには書けませんが。
☆
この時代を揶揄するステロタイプのイメージ、「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉。
定義はこんな感じ。
エロ・グロ・ナンセンスとは、エロ(エロティック、煽情的)、グロ(グロテスク、怪奇的)、ナンセンス(ばかばかしい)を組み合わせた語で、昭和初期の文化的風潮を示す語である。
1930年(昭和5年)に、それまで使われていた「エロ・グロ」に「ナンセンス」を加えて使われはじめた流行語とされる。
時代としては、大恐慌が起こった1929年(昭和4年)ごろから、2・26事件が起こった1936年(昭和11年)ごろまでの期間に当たる。
面白いねこれ、今と同じじゃん。
やはり「戦前」という時代の雰囲気のメルクマールなんだなあ。
時代が戦争に向けて突進していく予感に対する、不安と焦燥、沈鬱と狂騒。
僕らの今の時代も、「ネオ・エロ・グロ・ナンセンス」は全開にして、王道ですからね! そして、新たな「戦前」の実質的なはじまり。
だから今、この第一の「戦前」の時代を詳細に検証しておくことは大事です。
僕が乱歩や荷風にこだわるのも、そんな気もちがあるからです。
この特集は、ためになります。