血圧値 123/82/80 酸素飽和度 99% 体温 36.4℃ 体重 68.1キロ
すでに、外気温は30℃近いです。
今日は、風もない。
前回、どんなに優れたスピーカーでも、ユニット本体だけでは使えない、という話をしました。
箱(エンクロージャー)から取り出して、アンプからの音声入力をしてみれば分かりますが、シャカシャカ小さい音が出るだけで、まともな音は聞こえません。
スピーカーの原理は、コーンが前後に振動して空気を音の波に変えるのですが、実はこの時、コーンの前方と後方に、同時に同じ音が出ています。ただ前に出る波と後ろに出る波は同じ形でも180度逆さま(逆相と言います)になっているのです。若干のタイムラグもあるのかな。
この時、前後の波が混じり合うと、プラスとマイナスの波が相互に干渉して、ゼロになる、つまり音が聞こえなくなってしまいます。
この時、高音の波(高周波)は指向性が強いので前に飛んでいきやすいから、全部は混ざらない。低周波はぼよーんと回り込んでくるので混ざって打ち消される。高音側だけちょっと聴こえるのですね。
自作スピーカーで有名な長岡鉄男さんはこれをエアコンに例えていました。
壁も何もないところでエアコンの冷房を起動させても、冷やす室内機と暖気を出す室外機が同じ空間にあるため冷やしながら温めるため室温は変わらないのです。室温を変えるには、室内機と室外機を壁で遮断する必要があります。
こんな感じ。
スピーカーの低音もこれと同じ原理だと思うとわかりやすいですね!
つまり、ユニットの前後を遮蔽すれば良い。
無限大の壁を造って、穴をあけて、ユニットを挟めばなかなかいい感じになるでしょうが、実際に部屋とかに設置するには限度があります。これを平面バッフルといいます。
あまり現実的にはお目にかからないものですが、デパートの天井なんかに埋め込まれているやつは、これに近いですね。(あれ、意外と良い音を出すことがあります)
なので、こんな風に進化しました。
昔、小学校の教室の壁に付いていたスピーカーも、こんな感じの箱に入っていたと思います。
あの、始業のチャイムが鳴るやつね。
これはこれで、懐かしい。(形式としては密閉式フルレンジ)
さて、この箱をエンクロージャー(囲われたもの)といいます。
こうして密閉すれば問題は解決、と思われますが、そこには新たな問題が。
箱の容積を無限大に大きくできないとき、内圧によるコーンの振動の抑制、という問題が発生します。コーンが前に出たり後ろに引っ込もうとするときに、箱の中の空気は出入りできないから、コーンは動きにくくブレーキが掛かっちゃう。
あと、並行の壁に音が反射して定常波というやつが起こります。うわんうわんするのね。
エンクロージャの設計は、この二つの問題との戦いです。
ここから、本が何冊か書けるくらいの議論になるのですが、ここは端折って、サイトをひとつご紹介。
スピーカーのタイプ-自作スピーカー 手作りの音を楽しみましょう! DIY-Sound♪
じゃあ、これは何ですか、という問題ですが。
裏側もお見せしましょう。
なんか奇怪な雰囲気のエンクロージャーでしょう?
何をやろうとしているのか?
ヒントをひとつ挙げると、上記の二つの問題に対処するための方法にこういうプランがあります。
同じユニットを二つ装備した密閉箱です。上は普通に駆動しますが、下のコーンは電極がついていないスッピンのコーンです。コーンがゆるゆるで、自由に動ける。
上が引っ込むと下が出っ張り、上が出っ張ると下が引っ込むわけです。
内圧は一定に近く安定。しかも下のコーンからは低音成分が外に出ますので、ス―パーウーファーみたいなおまけの機能も発揮。
こういう発想をパッシブラジエーター、もしくはドローンコーン方式なんて呼びます。
なかなか賢い。
僕の円筒形のブルーのスピーカーは、このアイデアをさらにひとひねりしたものです。
以下、次号。