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今年のハロウィンも終わってしまいました。
あの日の夜、僕も渋谷を通りましたが、外国人観光客が交差点で自撮りするだけの、寂しいものでしたね。
もうオワコンなのか。
ところで、アマプラにリストアップされたので、これを観てみました。
『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』に続く、ケネス・ブラナー監督・主演版「名探偵ポアロ」シリーズの第3弾作品。
公開日: 2023年9月15日 (アメリカ合衆国)
監督: ケネス・ブラナー
原作: ハロウィーン・パーティ
原作者: アガサ・クリスティ
撮影: ハリス・ザンバーラウコス
イタリアの降霊会で、招待客が何者かに殺害される事件が発生。誰もが亡霊の仕業だと信じる中、超常現象を完全否定し人間の犯行だと確信するポアロは、その不可解な事件の真相解明に乗り出す。
大ヒット?
絶賛コメント?
うーみゅ、そうかなあ。
これはやらかしたんじゃないかなあ。
そもそも、この「本」を選ぶこと自体が、ある意味大胆というか。
ケネス・ブラナーのポワロシリーズ、過去作である『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』に次ぐ第3弾が、『ハロウィン・パーティー(原作)』。
何でこれにしたのかな?
あんまり上手く書けていない小説なのです。クリスティのなかでも。
これを取り上げるのは、ハードル高すぎ。
このこと自体が僕的には、だいどんでん。
映画については、「ミステリーでもなんでもない酷すぎる駄作だった。アガサ・クリスティに謝れ。」みたいなコメントがいろいろあるんだけど、それは勘違い。
正確には、「クリスティが」、かな。
ケネスの責任だけではないと思う。
(選択責任はあるけど)
ただし、ケネス版のストーリーは、舞台設定もプロットも、原作とはまったく異なります。
オリヴァ夫人とハロウィーン・パーティーは合ってる。子供たちがでてくるのも。あと過去の事件が関係しているのも。
登場人物の名前と、ハロウィンという時期設定だけが同じ。
犯人像も動機も違う。
ほとんど原型をとどめていない。
そういう意味では、「クリスティに謝」っておいたほうが良いのかな。
アップルボビング(ハロウィン恒例のリンゴ食い競争)で、ポワロが殺されそうになるのは、もはやジョークにしか見えません。
☆
この本の映像化はスーシェ版も、けっこう難儀しています。
ただし細かい設定に差異はあるが、こちらは概ね原作に沿った内容です。
これを期に、スーシェ版も観なおしておきました。
原作のプロットを活かしながら、脇のエピソードを整理して、ミステリとして物語を再構成しています。
アップルボビング(リンゴ食い競争)やスナップドラゴンなど、冒頭を彩るパーティゲームが映像化されているのも楽しい。
キャリアの晩期を迎えたクリスティが、おとぎ話とミステリを渾然一体とさせて生み出した実験的な作品。その評価はなかなか難しいかもしれませんが、ミステリとしてではなく、幻想小説として読めばはかない夢の世界を垣間見ることができるでしょう。
ラストシーンだけが、ケネス版に霊感を与えているのかな?
☆
ケネスは、ポワロをどちらかというとシャーロック・ホームズのような19世紀的世界観で捉えているような気がします。これまでの3作を通じて。
とくに今作では、それはより一層顕著なのではないかな。
「ポワロ」の設定は本来「大戦間」ですからねえ。
なんか違和感がある。
さて、ケネス・ブラナー監督・主演版「名探偵ポアロ」シリーズの「続編」は新たに生まれるのでしょうか。
あるとすれば、原作は?
『カーテン』で大団円、というのがひとつの方向性でしょうか。
それとも『ABC』を挟むのかな。
オリエント、ナイル、ヴェネチアと、世界名所シリーズのビジュアル効果を追ってきているから、なにかそれっぽいテーマが他にあるかなあ?
① 『メソポタミアの殺人』(Murder in Mesopotamia)
舞台:イラク・メソポタミアの遺跡
ポワロが考古学発掘現場で起きた殺人事件を解決する作品です。
②『死人の鏡』(The Mirror Crack'd from Side to Side)(短編集『ポアロの事件簿』収録)
舞台:モナコ
短編の1つですが、ポワロがリビエラで起きた殺人事件を解決するものです。
③『青列車の秘密』(The Mystery of the Blue Train)
舞台:フランス・コート・ダジュール
豪華列車ブルートレインに乗ってフランスのリビエラへ向かう途中で事件が発生します。(これはオリエント急行と被るし)
④『満潮に乗って』(Evil Under the Sun)
舞台:イギリス・デボン海岸
海辺のリゾートホテルが舞台となり、美しいビーチが登場します。
この辺かな。
でもちょっと地味だなあ。
ケネスが今度何を引っ張り出してくるか、一応、愉しみではあります。