血圧値 115/80/70 酸素飽和度 98% 体温 36.3℃ 体重 69.6キロ
将棋界の頂上決戦といえば、名人戦。
今期も始まりました。
藤井さんの、防衛戦。
八大タイトルを全部ひとりで持ってるんだから、仕事は基本全部、防衛戦。
(予選から出る一般棋戦はたまに負けるけど、それも一種の訓練ですからね。負けるとさらに強くなるモンスターだから怖い)
そして、タイトル戦は、負けない。
怖い。
藤井聡太名人(竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が豊島将之九段(33)の挑戦を受ける、将棋の第82期名人戦7番勝負第1局が11日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われ、先手の藤井が豊島を破り、初防衛へ向けて好発進した。
2日制の対局は終始互角のまま進み、終盤、先に抜け出しながら決め手を欠いた豊島に対し、冷静な指し手で逆転。141手で開幕局を制した。
第2局は23、24日、千葉県成田市「成田山新勝寺」で行われる。
横歩取りの大空中戦。これは豊島さん(とよぴー)の注文。
横歩は取られるのではなく、取らせるのです。
チェスの作戦で言うとギャンビットに似ています。
藤井さん(羽生さんも)はチェスも強い。
9四歩という端歩を序盤早々突いているのが、後手番を持ったとよぴーの用意の作戦。
攻めてくるなら来なさい、という挑発的構想。引っ張り込もうとしている。
藤井さんのしかも先手の攻めを呼び込もうというのだから、普通はできない暴挙だけど、藤井さんは粛々と横歩を取って攻めに出ます。
2七角の打ち込みに、普通は3八銀のところ4八金という新しい指し方で対応。5七の地点を先に守るという工夫。
これは藤井定跡となるかな。
いろいろあって、大名局になりそうなお見事な互角の進行。これだけの大立ち回りをやって中終盤が互角とは。
なんという奇跡の均衡。見事、拍手。
そして、なんととよぴーがほぼ勝ちではないか、という最終盤。
時間を使わずノータイムで4筋に香を打ってしまった手。
解説の佐藤康光九段の「いくら藤井名人と言えども…」とコメントした直後に、景色が180度変わってしまうという事態。
一手ばったりの「悪手」なんだろうけど、とよぴーがこれを打たされてしまったのは、藤井さんの妖刀のようなマインドコントロールのせいだろうなあ。
そして、投了図。
コンピュータは7八を遮断して当初の予定通り左下の敵主力を消して受け潰しを推奨していたんだけど、藤井さんは銀打って切り込んで、おしまい。
なんてこったい、あれを勝つとは。(これは全棋士の偽りのない心情だと思う)
これじゃあ将棋なんてやってられないよ、悪いけど。
ひふみんの感想。この先生は本当に明晰だなあ。
さすがに神武以来の天才。
「大変面白い将棋でした。「何をやってくるか分からない」豊島九段に対し、藤井名人が臨機応変にその場その場で対応して「備えができているな」という全体の印象でした。
特に光ったのが終盤3筋に香を打ち込んで歩を受けに使わせ、攻めで予想された打ち込みを消したところ。あの危機管理は見事です。さらに、3筋にタイミングよく跳ね出した桂が躍動していました。いい局面でいい手が巡ってきて、それを逃さないのが勝ちにつながるのだと思います。」
横歩取り模様からヒネリ飛車模様へ、そして下段飛車に構える複雑な経緯を経て振り飛車のような陣形になった本局。
藤井さん、ひょっとして振り飛車も指せるのではないか疑惑。
大山15世が若いころは居飛車で、後年振り飛車に転向してさらに勝ちまくったのは「こっちのほうが楽だから」。
藤井さんが「楽」の味をしめたら、それも怖い。
もうだめ、将棋界終了。
これで、昨年9月の王座戦5番勝負第2局からタイトル戦16連勝。
故大山康晴15世名人の17連勝という記録まであと1勝。
とよぴーの藤井さんとの対戦成績は11勝23敗。
直近の対藤井戦は10連敗。
「神武以来(じんむこのかた)」の称号は、そろそろ藤井さんに禅譲されるかな。