血圧値 119/84/76 酸素飽和度 98% 体温 36.5℃ 体重 70.6キロ
いわゆる、「マラ1」です。
マーラーっていうのは、中学生が聴くにはちょっと変態っぽい(通人っぽい?)というか、マニアックというか、中二病らしいというか、そんな感じがあって、ベートーヴェン、ドボルザーク、ブラームスの次くらいにはまりました。
今の時代、このマーラーという人は凄い普通の知名度になっているのですが、僕が西洋音楽を聴き始めた1960年代の終わりころは、まだ一般にはあまり知られてはいませんでした。まあ、きわもの的な扱い?
マーラーは、オーケストラのコンサートでは非常に人気で、取り上げられる率も非常に高いのですが、なぜか音楽の教科書等には載らず、義務教育の中で名前を聴くことすらありません。良い子は聴いてはいけない人?
「嫌いな作曲家ランキング」みたいな企画では、ブルックナーとワースト1を争う常連です。(そうなのか?)
それに引き換え、ブラームスなんかはとてもメジャーで、学校の音楽の時間には「ドイツ3大B」なんていって、試験にも出たり。
ドイツ3Bとは、19世紀に活躍した指揮者 ハンス・フォン・ビューローが提唱した、バッハ、べートーヴェン、そしてブラームスの作曲家たちを指す略称です。
ブラームスと仲が良かったビューローが、当時のブラームスを称えるためにこう呼び始めました。
この「B」はブルックナーに置き換えてもいいと思うけど、当時、ブルックナー、マーラーたちの後期ロマン派と、ブラームスの新古典派っていうのは外野から見てライヴァル関係で、ウィーンでも人気を二
小学校の音楽室の壁に貼ってあった例の有名作曲家たちの肖像(実は、楽器購入時に付いてきたおまけのカレンダーの絵で、なぜか多くの学校で使い終わったカレンダーの絵の部分を切り取って音楽室の壁に貼っていました。その後、旧文部省によって「教材基準」が制定され、全国の学校に音楽家の肖像画が飾られるようになりました)にも、マーラーなんてなかったよねえ。
僕はしばらくの間、「音楽の母ヘンデル!」っていうのは女の人なんだと思ってた。あの髪型(かつらだけど)が原因。
ちなみに「音楽の父」は、J.S.バッハ。この言い方はなんなんだ、ウルトラ一家か?
そう言えば、でもブルックナーはあったのですよ!
試験には出なかったかもしれないけど。
綺麗な女の人が大好きだった、人間としてはちょっと変なおじさん。
作る音楽は雄渾・壮大で神々しいもの。たしかに西欧音楽史のひとつの頂点。
さてさて、脱線注意!
☆
昨今、マーラーはこんな風に紹介されることがあります。
グスタフ・マーラー(1860年7月7日~1911年5月18日)は、間違いなく20世紀初頭の、最も捉えどころのない、論争の的となった人物の一人である。
彼の音楽は、心理的な要求を満たし、心を揺さぶり、ポスト・ロマン派の旋風を巻き起こす。彼の聡明で潔癖な音楽的思考は、正統派を嫌い、限りなくロマン派的な精神と相まって、反体制的で奔放な最高級の作曲家として歴史にその名を刻むことになったのである。
彼は自分の音楽を包括的なものにしようと努め、幅広い宇宙的概念、人生の意味、死の必然性を、抒情、民謡、調性の探求、不気味さ、コラール、そして圧倒的な演奏能力とどうにかして融合させたのである。
なんかよく分からないけど、かなり変な人っぽいのは分かる。
いかにも中二病のカンフル剤みたいですよねえ。
最近読んだマーラー評で、面白かった意見。
マーラーの作品群を今見返したとき、それは、マーラーの極めて個人的なことを書き綴ったブログのように思えてきます。中二病をこじらせ、めちゃくちゃ病んだことばかりを描き、誇大妄想気味の、自己愛に満ちた、情緒不安定なブログです。
情緒不安定なので、そこには異質なものもバンバン入ってきます。政治の話をしていると思ったら急に自分の趣味の話になったり、かと思ったら急に「腹が減った」とその時々の気分を書いたり。しかもそのブログがめちゃくちゃ長い!毎日単行本2冊くらいの分量で書いてあるのです。個人的なことをものすごく大げさにつらつらと書き連ねた自己顕示欲最強ブログ、それがマーラーの交響曲の本質です。
マーラーが嫌われる理由の根本は、そこにあるんじゃないかと思います。ただそのブログは妙に文才があって、魅力的にも感じるのです。
本当に好きと嫌いは紙一重。マーラーが嫌いになることは、マーラーを好きになる第一歩なのかもしれません。
そうそう、嫌いな人は好きな人!
一度、我慢して聴いてみそ。
☆
じつはこのマーラーは、当然僕の分霊箱の筆頭候補なんですが、ちょっと第一位の考察は保留させてもらおうかな、と思ってます。
例によってその重要な音源を今、持っていないのです。
なので写真だけ貼っておこう。
これです。
パウル・クレツキー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
このジャケットの装丁でピンときたあなたは、僕と同じ音楽遍歴の人ですね。
僕(たち)は、この東芝音楽工業から発売されていた「セラフィム名曲シリーズ」という廉価盤(当時の価格で1000円くらい)のおかげで、いろいろな作品と演奏に出会うことができました。
セラフィムとは6枚の翼を持った人の姿で表現されている最高位の天使であるとの解説が帯の裏に書かれています。 廉価盤の最高位を目指した意気込みでしょう。
さてこのシリーズ、EMI原盤を主体に(番号AAのもの)、キャピトル原盤(番号CAのもの)も含めた100枚で構成され、1曲も重複しないレパートリーであるのが自慢になっていました。
このクレツキ―のレコードから僕のマーラー遍歴が始まります。
これはじつはとても良い演奏(終楽章に重大なカットがなされているけど)で、最初の出会いとしてはとても幸運でした。
なので分霊箱「マーラー交響曲第1番 巨人」はこのレコードから始めたいのですが、CDで音源を再確保してから語りたいと思うのです。
ちなみに、この曲の終楽章冒頭の、びっくりさせられる暗く激しいフレーズ。
日本の大東亜戦争戦時中の大本営発表のニュース映画のBGMで聴いたことがある(気がする)。
そしてついでに言うと、あの学徒出陣のニュース(日本ニュース第177號)のBGMは『復活』の冒頭なのですが、あの頃の日本の放送局はいったい何をとち狂って、こんな勘違いをしてたんだろう。
某枢軸同盟国の首謀者が聴いたら、大激怒必至。
これについても、後述しましょう。