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素晴らしい、秋晴れ。
外気温、21℃。
窓を開けると、爽やかな風が、部屋の中を吹き渡ります。
こんな朝は、ほんと久しぶりだなあ。
さて、ちょっと前のこと。
まずは、お昼前に神田神保町の古書街へでかけました。
目黒駅から三田線で。
「豆本の店 呂古書房」。
豆本にはこれまでご縁がありませんでしたが、この店の在庫に探していたものを見つけたので、通販するより行ったほうが早いと思いました。梱包とか送料とか、無駄が省けるだろうし。豆本を買うわけではありませんが。
行ってみて気がついたのですが、このお店、僕が神保町へ行くとき必ず立ち寄る「軍学堂」の真上のフロアでした!
買ったのはこれ。
市立市川歴史博物館が平成2年に行った企画展の際の資料です。
厳密には書籍ではない、かな。定価とか書いてないし。
こういうものは普通は手に入りにくいのですが、最近の古書販売ルートのネット化は、目を見張るものがあります。
貴重な資料の散逸が防げています。素晴らしい。
ここに行ったことはないので、今度、訪れてみよう。
この「荷風ノ散歩道」はとても良い資料で、開くと、こんな地図があります。
荷風は、戦災で焼け出された後、居を市川に移して、亡くなるまで4つ住所を転々としています。
そして、ここで孤独のままに亡くなりました。
荷風終焉の地、市川。
戦後の荷風の足跡と、その人生の周辺の風景を、この展示は丁寧に、かつ詳細に追跡したもののようです。
企画展は見逃しましたが、この資料は有益です。
市川界隈をゆっくり訪ねてみたいと思っていましたが、この地図と展示資料の記録は、とてもためになります。入手できて良かったなあ。
呂古書房を出た後、軍学堂も覗いて、さらにあと一軒寄ってから、上野駅へ。
上野・東京都美術館へ。
お腹がすいたので、美術館の中のラウンジでハヤシライスと生ビールを少々。
これを観ます。
世界的にもっとも古い美術館の一つに数えられるイタリアのカピトリーノ美術館。その所蔵品を中心とした、約70点が来日します。昔、イタリアに行ったときは、ここは観なかったなあ。
カピトリーノ美術館のコレクションがまとめて日本で紹介される初めての機会。二千年を超える栄えある歴史と、比類なき文化を持つ「永遠の都ローマ」を充実のコレクションにより味わうことが出来ます。
カピトリーニ美術館の歴史は15世紀後半までさかのぼります。
当時まだ「美術館」という概念がない時代に、教皇シクストゥス4世が教会で保管していた美術作品をローマ市民に「寄贈」したことが起源です。
その中には古代ローマ時代のブロンズ像なども含まれており、ローマ市民の誇りとアイデンティティをつなぐ重要な役割を果たしました。
僕は世界史の先生を何十年もやってたから、このテーマは「飯のタネ」のようなもの。
敬意を表さないとね。毎年、何時間も授業でしゃべるんだから。
とくに、これ。
レプリカなんだけど、実寸大精巧ブロンズ製。
ローマ建国神話の象徴である《カピトリーノの牝狼》です。
ローマの起源と言われる伝説をテーマにした作品で、双子の幼い兄弟ロムルスとレムスが狼に育てられ、のちにローマを建国したと言われています。
幼い兄弟は、祖父を殺し王位を奪ったアムリウスによってティベル河に流されましたが、忽然と現われた一匹の雌狼に助けられてその乳を飲んで命を取り留めました。
後に羊飼いに育てられて成人した兄弟は、祖父の仇を討ちローマを統一したと伝わります。
こっちは、来ていないけど本物。
そして、彼女。
「狼」と並んで世界史の教科書に出ています。みんな知ってますね。
《カピトリーノのヴィーナス》は、古代ギリシア最大の彫刻家プラクシテレスの女神像(前4世紀)に基づく2世紀の作品。
古代ローマで制作された彫刻作品のなかには、古代ギリシャで制作されたものをそのまま模倣したケースもあります。この作品も、その例の1つです。
ヴィーナス像に典型的な恥じらいのポーズをとるこの作品は、ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツィ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られており、カピトリーノ美術館以外では滅多に見る機会がない門外不出の作品です。
豊満な、美熟女。なかなか良いなあ。
この人の良さがわかるお年頃に、僕はなったんだなあ。
高校生には、ちょっと無理があるのかな。
そうでもないか。
ローマの彫刻はみんなギリシャの真似だ、と教わってきたけど、なかなかこういうセクシーなセンスには、抜きんでたものがあるのではないかしら。
ちょっと、蛇足。
イタリアの彫刻で、セクシー女王といえば、これ。
ちょっと時代はくだるけど。
ベルニーニ《プロセルピナの略奪》(イタリア語: Ratto di Proserpina、英語: The Rape of Proserpina)
17世紀イタリアの芸術家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが1621年から1622年にかけて制作した大型の大理石彫刻で、春の女神プロセルピナを我が物として連れ去ろうとする冥界の神プルートーを描いたもの。この作品を完成させたとき、ベルニーニは弱冠23歳の若者でした。
太ももの肉感すごい。
これはさすがに教科書には載ってないかな。
良い子はあまりじろじろ見ないように。
ローマ神話のプロセルピナは、ギリシャ神話ではペルセポネーにあたります。
大神ゼウスと豊穣の神デメテルの娘。 元々の名はコレー(乙女を意味する)。 母神を助けて春をもたらし花を咲かせ、大地に彩りを与える権能を持つとされました。 後にこの彫刻のシーンのように冥王ハーデス(ローマ神話ではプルートーね)の妻となったので、冥府の女王として死者の減刑や赦免なども果たすようになったそうです。
ハーデスによるペルセポネーの略奪は、古代ギリシアにおいて行われた略奪婚の風習を表しているらしい。これは夫となる男性は相手の女性を父親から奪うくらいの力強さがなければ娘を嫁にやることはできないという考え方に基くものであり、当時の倫理観からいえば必ずしも正義にもとるものではなかったそうですよ。
英語版の The Rape of Proserpina 、は「我がものとする」というニュアンスね。
3大ヴィーナス、あとお二人は。
ミロのヴィーナス
失われた両腕は、同じような恥じらいスタイルだったと思われるけど。詳細は謎。
こんな可動フィギュアがあるので、自分で復元研究をしてみても良いかも。
(これ、授業で使いたいね! 夏休みの自由研究にもお薦め。)
こっちは。
メディチのヴィーナス
なんか縦にひょろ長いね。
僕はウフィッツィで観たのかな。
あのときは駆け足で「誕生」とか観てたからなあ。
あと、皇帝の巨像の一部とかいろいろ展示されてますが、おっさんの像は省略。
観ても面白くないでしょう。
というわけで、上野をあとにして、千葉県に向かいます。
荷風の市川。
今日はとても忙しい。
尺が伸びているので、以下次号。