血圧値 126/85/65 酸素飽和度98 % 体温 36.3℃ 体重 67.3キロ
今朝は、ずいぶん涼しいですね。
湿度は高いけど。まあ、良かったかな。
前線が本州の南へ下がるため、次第に「夏」から「秋」へと空気が入れ替わるのだそうです。
さて。
弾丸西の京巡行の続きです。
お寺に在る「塔」は、本来はゴータマ・シッダールタ(お釈迦様の本名)のお骨を安置した納骨施設です。
インドでは「ストゥーパ」と呼ばれて、寺院の中心となる建物です。
次第に「金堂」という仏像を安置する施設のほうが重要視されていきますが、本来、お寺を建てる、という行為は、仏陀の供養と教えを顕彰するために仏塔を建てる、という行為を意味していました。
お金持ちは、本物の「ストゥーパ」を献納する。
庶民はイミテーションである木の板でできた「卒塔婆(そとうば←ストゥーパ)」をお供えする。
日本では、こんな風になっていますね。
もともと、インドでは,
土饅頭のようなお墓の上に傘をさしている形に造られましたが、中国に入ってから、多重の塔の屋根のてっぺんに避雷針のような九輪(傘の部分の引用)が乗っかる形となり、これが日本でも継承されたのです。
インドの場合
中国の場合
日本の場合
日本のスタイルが一番洗練されていて美しいかな、と思うのは個人の感想です!
さて。
仏塔はお墓ですから、その中心の柱の下には、お釈迦様の遺骨(仏舎利と呼びます)が仕舞ってあるはずです。
が、世界中に無数にある仏塔の中に、すべて「本物」があるとは思えませんから、そこは大人の事情があるのでしょう。
そこで、いつしか釈迦のお墓には、その生涯の出来事をいくつかのシーンにまとめて構成したレリーフが飾られるようになります。
しだいにパターン化して8つの場面を描くようになり、これを「釈迦八相図(像)」などと呼びます。
つまりこれは釈迦の人生を描く壮大なジオラマですね。
そこで今回、復元・修復された薬師寺の二つの塔の内部に、文化勲章を受章した彫刻家、中村晋也氏が制作されたブロンズ群像で、現代の「釈迦八相像(東塔因相・西塔果相)」が納められることになり、その特別公開が行われている、というわけです。
東塔には前半生の「入胎(にったい)」「受生(じゅしょう)」「受楽」「苦行」、西塔には後半生の「成道(じょうどう)」「転法輪(てんぼうりん)」「涅槃」「分舎利(ぶんしゃり)」が並びます。
「東塔因相・西塔果相」というのは、原因と結果、因果は巡る糸車、みたいなイメージですね。
写真撮影が禁止でしたので、オフィシャルからお借りして、ご紹介しておきます。
一面につき、横4m・縦3mの巨大なブロンズ製です。
先生と管主。
シッダールタの修行を邪魔するために、魔王の軍隊が襲い掛かったり、ハニートラップの美熟女がちょっかいを出したりしています。
幻覚との戦いに勝利して、見事悟りを開き、「仏陀=悟りを開いたもの=覚醒者」となりました。「仏様第一号」ですね。
基本、誰でもが仏陀になれる、というのが仏教の教えの根本です。なので、仏教は宗教ではない、という意見もあります。「神」が居ない、無神教ではないか、という解釈です。ここでは、この問題には深入りしません。
そして、シッダールタがついにお亡くなりになる瞬間。
人間ですからね、いつかはこの時が来ます。
「涅槃=ニルヴァーナ」のシーン。
その静かで、安寧に充ちた死は、イエスの最期(受難図)とはあまりにも対照的な雰囲気ですね。
もちろん良い悪いをいうつもりはありませんが。
こういう「現代風(中村晋也氏の作品)」のスタイルの像を、歴史的な建造物の中に安置するのはいかがなものか、という意見もあるようですが、どの時代も、すべての歴史は現代史です。
つまり、その時代の最前線の作品がつねに献納されてきたわけですから、これはこれで、とても自然な成り行きである、というべきなのでしょう。
さて。
そのあと、境内の他の懐かしい仏様たちとも再会。
金堂の薬師三尊像【国宝】(奈良時代 銅造)〈像高:薬師如来254.7cm 日光菩薩317.3cm 月光菩薩315.3cm〉
その台座
台座には、奈良時代における世界の文様が集約されています。
今回、まじまじとその4面に彫刻されている意匠を観察しました。
一番上の框(かまち)にはギリシャの葡萄唐草文様(ぶどうからくさもんよう)、その下にはペルシャの蓮華文様(れんげもんよう)、各面の中央にはインドから伝わったといわれる力神(蕃神ばんじん)の裸像、下框には中国の四方四神(東に青龍、南に朱雀、西に白虎、北に玄武)の彫刻がなされています。
「この台座は当時の国際性と東西文化の交流を知る上でも貴重なものであり、奈良がシルクロードの終点であったといわれるゆえんはここにあります。(薬師寺による掲示板の記載)」
なるほど。修学旅行で来たときは電光石火で仏像だけ見て周ったはずだから、この辺は見落としているんだなあ。
東院堂の聖観音立像【国宝】(奈良時代 銅造)〈像高:188.9cm〉
この後、薬師寺ではもう一つ、観ておきたいものがあるのです。
お隣の、玄奘三蔵院伽藍というエリアに移動します。
以下次号。