にこたろう読書室の日乗

死なないうちは生きている。手のひらは太陽に!

0600 起床 気分快 晴 「ありがとう」と「いただきます」の国に生きる僕、という喜びについて。

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日本語のニュアンスを、外国の言葉、たとえば英語に翻訳しようとするとき、微妙に文化の違いを実感させられてモヤモヤする、ってありますよね。

 

絶対不可能、みたいな。

 

①ありがとう

 

この前観た『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』の例を挙げると。

(ちょっとネタバレ注意)

 

ラスト近く、ユウナがティーダに別れを告げるシーンです。

ユウナは覚悟を決め立ち上がり、ティーダとの別れを受け入れる。
ティーダに向けて言う最後の一言。

 

ユウナ、ティーダとの別れを受け入れる

 

原作ゲーム日本版では、ユウナはティーダへの最期の言葉として「ありがとう」の一言を残しますが、このセリフはゲーム英語版では"I love you."と翻訳されました。

 

これは万感の意味を込めた「さようなら」なんだけど、それをとっさにどう伝えたらよいのか。ユウナの答えは「ありがとう」だったわけですね。

 

「ありがとう」を直訳して"Thank you."としなかったのは、この翻訳を知っている日本のFFXファンの間では賛否両論だったそうですが、これは、逆なんだと思う。

 

つまり、日本語の「ありがとう」は、"thank you"ではない。

"I love you."でいいんだよ、ということ。

 

「さようなら」の代わりに「ありがとう」と言う。

そしてそれは"I love you."と言うことと同じなんだ、という日本語を、僕は美しいと思います。

 

あなたの存在自体に対する、感謝。

その喪失に対する、哀惜。

 

ところで、英語で別れの言葉といえば、"Thank you."よりも"I love you."の方がより一般的だそうです。

 

これも例を挙げると。

 

スターウォーズ 帝国の逆襲』では、冷凍刑に処されるハン・ソロレイア姫が"I love you."と言葉をかけました。

タイタニック』のラストでも、死を覚悟したローズが恋人のジャックに"I love you, Jack."と告げました。

引退するスポーツ選手が最後にファンに向かって"I love you."と言う姿も見かけます。

 

このゲームの英語版翻訳を手がけたAlexander O. Smithが言うには、「ありがとう」と"I love you."って口の動きがとても似ているそうです。

おなじ動画に、別の発音を付けるわけですからね。なるほど、細かい!

 

②いただきます/ごちそうさま

 

日本では一般的に、食事の前に「いただきます」、食事の後に「ごちそうさま」という言葉を使います。これらの言葉には、提供してくれた食材や料理に対する感謝の気持ちが表現されています。

 

「いただきます」や「ごちそうさま」という文化は、どうやら日本独自のものであり、他の国には食材に言葉をかける習慣はないそうです。

例えば、「一緒においしく食べましょう」という言葉を使う国はあっても、「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を使う国はありません。そのため、外国人には「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を訳すことができず、翻訳が困難なのです。

 

Google先生はこういう解答例を示します。

まあ、そうなるな。

 

いただきます/I'll enjoy having this

ごちそうさま/Thank you for the meal

 

小学校などでも、食事指導として、この掛け声の励行を教示していると思います。

「指導要領」の細目は知りませんが。

 

これを「強制」している学校があるのかどうか。あるいはその法的根拠があるのかどうかはわかりません。どうなのかなあ。

 

関東では、食事の掛け声は「姿勢を正して、いただきます」で、関西方面では「手を合わせていただきます」と言って給食を食べるらしい。

 

どうやら、関東と関西と違うんじゃないかという感じもします。

 

その時、この「手を合わせるしぐさ」について。

 

外国人からこれを見ると、日本人が神に祈っているのか、仏様に祈っているのか、食べ物に祈っているのかと疑問を持つことがあるそうです。

 

僕はとくに手を合わせたりはしないんだけど、仏教シンパではあります。

その辺の感覚は、どうなのかなあ。