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せっかくの桜の季節ですが、毎日のように雨ですね。
今日はちょっと出かける用事がありますが、こんな日は家でゆっくり本でも読むのが良いんでしょうね!
「読書室」なんだから、たまには本の話題を書かなくちゃ。
それもミステリーとか。
わくわくして読めるし、ついつい時間を忘れます。
ミステリー=「推理小説」を定義します。
「推理小説」とは:
「読ませる機械」です。本は読まれてこそなんぼ、です。
推理ものは、上手に書かれていれば、どんなに分量が多くても、複雑・難解なテーマでも、普通に書いたらなかなか読みにくい重厚な内容でも、すらすら読者を引き込んで読ませることができます。
ポーとかドイルが発明した、文学様式上の19世紀的大発明ですが、日本では江戸川乱歩あたりから、「本格」的に書かれるようになりました。
謎(主として殺人・盗難・誘拐・詐欺などなんらかの事件・犯罪に関わる未解決の部分)が提示されて、「探偵役」が、これを論理的に解決・解釈する。
その過程に「読者」を参加させる。(答えは最後に探偵が披瀝する!)
謎が難しいほど、解決はカタルシスを伴う。
読者は探偵役に感情移入し、アバターとしてストーリーに没入できる。
まあ、こんな構造の小説のパターンを、「推理小説」(昔の呼び方は「探偵小説」。乱歩の命名だったかな。)と呼びます。
ここ数日で、『東京ダモイ』を読みました。
東京ダモイ
鏑木 蓮 著
この小説は、「シベリア抑留」という、あまり知られていない、ある意味で記憶の風化にさらされているテーマについて、興味を引き付けながら、多くの知識と情報を与えてくれる、長編推理小説です。俳句から犯人の手掛かりを探っていく行程は面白いですし、ミステリとして楽しみながらシベリア抑留についての知識を得られるところが有効です。これから舞鶴に行く予定のある人は、読んでみてはどうでしょう。
第52回江戸川乱歩賞受賞作で、2006年8月の刊行。
推理小説なのでネタバレはしませんが、公開されている内容紹介は、こんな感じ。
極限の凍土、シベリア捕虜収容所で起きた中尉斬首事件。60年の沈黙を自らに強いた男が突如、姿を消した。
男は帰還(ダモイ)を果たし、すべてを知った。
自費出版に持ち込まれた原稿が60年前のシベリアと現代の事件を結ぶ。
舞鶴でロシア人女性の遺体が発見された。時を同じくして抑留体験者の高津も姿を消す。2つの事件に関わりはあるのか。当時のことを綴った高津の句集が事件をつなぐ手がかりとなる。60年前極寒の地で何が起こったのか?
風化しても消せない歴史の記憶が、日本人の魂を揺さぶる。
著者の鏑木(かぶらき)さんは、今年2023年1月11日、多臓器不全のため京都市の病院で亡くなりました、61歳没。若いのに残念。
「ダモイ」(抑留からの解放・帰還)という言葉から、二宮くんのこの映画がピンときますね。
「ラーゲリ」は収容所、「ダモイ」は帰国を意味するロシア語。第2次世界大戦後、極寒のシベリアのラーゲリに不当に抑留された実在の日本人捕虜たちが、文字通り命がけで繋いだ汚れなき“思いが胸を打つ作品。
原作はこれ。
これらは、同じテーマを描いています。
去年、僕が訪れた舞鶴が重要な舞台として登場します。
抑留されていた引揚者が帰還する港町の一つだったのです。
知っている場所が出てくると、物語が俄然リアルに思えてきます。
0600 起床 気分快 雨 舞鶴・北滋賀遠征記録②舞鶴引揚記念館 - にこたろう読書室の日乗
今の日本は、この問題についてちょっと気持ちが動いてきているのでしょうか。
僕個人としても、このテーマは避けて通れない部分があるので、これを機会に少し考えてみたいと思っています。