血圧値 124/86/67 酸素飽和度 % 体温 36.3℃ 体重 69.7キロ
観てきました!
木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』
場所は豊洲の、ここ。
あの、客席が360度くるくる回る、「IHIステージアラウンド東京」。
なんとこの会場、この興業が最期になるらしい。
残念。
僕は前に『髑髏城の七人』ていうのを観に来たことがあるな。
凄い面白い構造の舞台。
回り舞台ていうのは舞台が回るけど、ここは円形の客席がターンテーブルのように回って、周囲にドーナツ型に複数の場面設定が造られていて、てきぱきと場の転換ができる。
キャストが移動するとき、背景と客席が同期して回転するので、スピード感とかが面白い。不思議な感覚。
さて、到着。
開演前のスクリーン。
今回のための描きおろしイラストが。
拡散して欲しいみたい。
幕の代わりのこのパネルを開け閉めしたり移動したりして、そこにCGの動画・静止画を効果的に投影します。
あと、舞台上でミストを使って、プロジェクションマッピングとか。
いやあ、凄いなあ。しかも、伝統歌舞伎とのコラボ。
でも、要するに「FFⅩ」が、良いのです。
そもそも、このオープニングを観ただけで、知ってる人は号泣。
BGMだけで泣けるけど、今回は邦楽調の新しいアレンジ。
ここには、始まりにして、すべてがある。
分かる人には説明は不要。
物語初見の人には、説明不能。
でも、スピラのこと、ザナルカンドのことを何も知らないまっさらな状態でFFⅩ歌舞伎を観に来られたあなた、羨ましいなあ!(特定の記憶だけ消去できる薬が開発されたら、爆売れすると思います、マジで。)
冒頭、「歌舞伎初歩入門」をやったオオアカ屋さん(ルッツ/23代目オオアカ屋 兼任)の中村萬太郎さんが客席にアンケートとったけど、意外と歌舞伎初めて、FF初めて、その両方、ていうかたがたくさんいました。
「新歌舞伎」として新しい方向性をずっと追求し続けている尾上菊之助さんの、ゲームも歌舞伎も、どちらも初めての人々への熱いアプローチを感じます。そもそもこの人、FFが好きなんだろうなあ。
そして、初めてのお客さん。なんで、周りのみんなこんなところで号泣するの?って思うだろうなあ。
そういう場面、多数。
FFⅩって、凄いコンテンツだ。
あ、ちなみにこの作品、前・後編休憩込みで9時間もかかるのです。
でも、超特急で進んでいく感じで、飽きさせません。場面展開も超速。
◇前編 上演時間:3時間35分
【前編・後編間休憩 15:35~17:00】
◇後編 上演時間:3時間25分
音楽はジャパニーズオーケストラアレンジがなかなか良い。
後編では義太夫が伴奏します。召喚獣の名前なんか、知らない人には聴き取りにくいかも。
でも、そこに趣きがある。
セリフはほぼ、現代語だから分かりやすいです。
演技の様式も、現代劇と歌舞伎の折衷。
尾上菊之助さんは、これまでも「NINAGAWA十二夜」「マハーバーラタ戦記」「風の谷のナウシカ」など自身の企画、構想で新しい歌舞伎の舞台を創り出してきましたが、今回はコロナ禍の中で、渾身のFF愛を発揮した力作。
出演者でこのゲームの経験者は数人だったみたいですが、これを機に取り組んだ人も。
もう3周してるというつわものも。演技研究のために、配役に注目して再プレーとか。
青森とか遠くからきて、観て、度肝を抜かれて、即、来週のリピートを予約するとかの人、多数!
3回見る人の比率って、どのくらいなのかな。
この劇場、座席位置にやや癖がある。
僕はそうでしたが、ほぼ真ん中の位置が全体を俯瞰して、かつ役者さんの表情も見える、というのでお勧めですが、かぶりつきで二回目は観たい、という衝動も分かります。
端っこで、観るのは辛いけど、お安いので3回目以降どうですか、っていうのもありかな。
撮影や録画はできないので、ここに貼るものはないのですが、オフィシャルからいくつか。
驚きと感動のクオリティは、この「異界送り」を観ただけで分かりますね。
そもそも、このユウナのロッドダンスは、ゲームのモーションキャプチャー自体が日本舞踊をアレンジしていたのではないかな。
それを実写に戻した、という感じ。FFⅩはもともと歌舞伎と相性が良かった、ということでしょう。
ユウナは中村米吉さんなんだけど、もう、これしかないという結論。
その声。立ち居振る舞い。みんな、魅入られると思います。凄い!
行きたいけど、まにあわない、というかたは、こちらをどうぞ。
ゲーム映像と歌舞伎映像を対比して編集しているのは、この番組。
その再現性の高さが分かります。
そして圧巻の、シーモア・バトル。
これは公開ゲネプロですが、魅力の一端が十分伝わります。
キャストの人選も素晴らしい。
尾上菊之助さんが企画を練りながら、自分で片っ端から電話で口説き落としたそうです。その熱量。
ユウナ:中村米吉さんがとくに秀逸ですが、ティーダ:尾上菊之助さん、アーロン:中村獅童さん、シーモア:尾上松也さん、もね。
ジェクト:坂東彌十郎さんはさすがベテランの味。
あと、タイトルロールに出ないんだけど、中村橋吾さんが、主役級の大活躍。いったい何役やってるんだろう。(コケラも!某老師も!某召喚獣も!)
中休み90分を挟んで、お昼から夜9時半までの、通し狂言。
でも、あっという間のカーテンコール。
ここだけ、写真OKのサーヴィスタイム。
オオアカ屋さん、「拡散、ヨロシク!」
ルール―のモーグリは物販即売り切れ!
この父と子の物語を軸に、さらにいくつもの親子の物語が交差します。
ジェクト:坂東彌十郎さん、さすが大御所。
ユウナ:中村米吉さん、声が可愛い。この人のおかげで実現した企画かも。
シーモア老師、凄い存在感。ほぼ、主役。そして悲愴。
獅童アーロン、格好良い。素の演技。
シド父さん:中村歌六さん、歌舞伎演技が良くマッチ。
ユウナの中村米吉さんは、実の息子さんです。
ブリッツボール・飛空艇の演出は、現代映像技術を上手く活用してます。
ワッカ:中村橋之助さん、妙にリアル。
このスレッドの投稿写真がたのしいかも。
https://tsuiran.jp/word/3939514/weekly
「はてなブログ」繋がりでは、からしさんのレヴューが素晴らしい。
達意の文章です。
IHIステージアラウンド東京『新作歌舞伎ファイナルファンタジーⅩ』 - すーぱーからしちゃんねる
写真で振り返る全体構造は、「公式レポート」を参照。
REPORT | 『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』公式サイト
時間のあるかたは、「公式」が充実してるので、全貌をご覧ください。
それから。
「すべて」を知りたいかたは、これを。
この動画も全長9時間です。
不思議な符合。
さてさて。
この演目はぜひ、Blu-ray/DVD版を出してほしいなあ。
『ナウシカ』はあるんだから、出るでしょう。
絶対に売れるから。全世界展開。
ある意味、ワーグナーの『ニーベルングの指輪』に拮抗できると思う。
日本を、元気に!