血圧値 124/82/63 酸素飽和度 98% 体温 36.4℃ 体重 68.0キロ
「藤井聡太」を定義します。
大山さんから連なる名人級の将棋指しが「重爆撃機」だとすれば、藤井さんは、「戦闘機」だな。
敵機動部隊に単機で切り込んでいって、直掩と対空砲火を高速・旋回性能でかわしつつ、まっすぐ敵旗艦の超弩級戦艦(空母かもしれんが)の艦橋の司令部スタッフを針の穴を突くような機銃掃射で一掃しに行く。
爆撃や雷撃みたいな戦い方ははじめから考えていない。
敵の大将を秒速・最短で討ち取って、それで一丁上がり。
とても、冷静・冷徹な勝負観。
こりゃ、勝てん。悪いけど。
王位戦、女流王位戦(いずれも西日本新聞社など新聞三社連合主催)のタイトルホルダーによる恒例の「王位・女流王位記念対局」がありました。
対局日:2023年2月中旬に実施
棋戦:王位戦記念対局2023
持ち時間:藤井王位10分、里見香奈女流王位60分(切れたら1手60秒未満)
場所:関西将棋会館
後手:藤井聡太王位
戦型:ゴキゲン中飛車
この戦いの内容が、ある意味凄まじいのと、今度の藤井対菅井の叡王戦の参考になりそうなので、ここで取り上げておきます。
現状、里見さんが飛車を振るのは既定路線なので、藤井さんの対振り飛車作戦が見られます。
藤井さんのこれまでのタイトル戦では、相手が誰も振り飛車を指さないので、この形の観察はできませんでした。菅井さんは予告先発で全局飛車を振るはずですので、それに先立つ本局は、記念対局というエンタメ性はあるにしても、興味深いデータとなるでしょう。
里見さんは先手でいきなり中飛車の、もっとも攻撃的な戦型を採りました。
(中飛車に振った瞬間にAI評価値が後手側に振れているということは、見なかったことにしましょう!)
藤井さんは用意の作戦で、中央に2枚の銀を繰り出して抑え込みの、ちょっと不思議な指し方。抑え込み急戦、と言ったらいいのかな。この発想はあまり見たことがありません。
里見さんの早い動きを「受けながら」急降下してくる藤井さん。
里見さんの噴進砲並みの強烈な対空砲火(序盤早々に先手から攻勢に動いたのです)をかいくぐって、気がついてみれば歩と銀二枚と桂馬で、あっという間にぴたりと押さえつけている。
馬を作らせても、これがまったく働けない形になってます。
藤井さんの意見では、銀は4七でなく6六に打ったほうが良かったらしいですが、まあ、ここではすでに先手が苦しいというか、何もできない状態なのですね。
驚いたなあ。
中盤以降の指し手が圧倒的。緩急自在の指し回し。香上がりの緩手を咎められて振り飛車がほぼ完封され、藤井さんが勝ちました。
角落ちの上手みたいな指し方の感じだなあ。
投了図。里見さんの2枚の馬と飛車は無力化されていて、5筋から右側は、圧倒的な兵力で押しつぶされる寸前。
藤井さんは対振り抑え込みでも「戦闘機」なんだなあ。
妙に、納得。
菅井さん、どう思ってるのかな。
この「捌かせない技術」に、どう対処するのか。
とりあえず相穴熊は、1局ありますね。
ゴキ中はやらないだろうなあ。この将棋見てたりすると。