血圧値 114/74/82 酸素飽和度 98% 体温 36.4℃ 体重 66.6キロ
今日も、ちょっと将棋の話を。
にこたろうの将棋の棋力は、弱いアマ2段くらいでしたが、ここのところ全く実戦をしていないので、ひとまわり弱くなっていると思います。(勤務校では将棋部顧問だったけど!)
しかも、昭和の将棋だから、最近の相がかりや角替わりの戦型は、経験値ほぼゼロです。矢倉は後手でも金矢倉の持久戦型に組んでしまいます。
対振り飛車を銀立ち矢倉とかで対応したくなるくらいだから、その棋風は詳しいかたにはおおよそ想像がつきますね。
ところで、絶対王者・藤井聡太竜王は、将棋を「決定勝負」として捉えているのかな。
つまり絶対的に強いもの(藤井聡太であれ、強化されたAIであれ、その他未知のものであれ)が必ずこのゲームの勝者となる、という確信。
「それ」が現れた時点で、将棋というゲームが「勝負」として成り立たなくなるという可能性を、彼はどう見ているんだろう。
なんたって、それが自分自身である可能性が、限りなく高いわけですからね。
これは孤高の魂ということになりますね。絶対孤独か。
将棋という文化の将来を考える際、このことはとても重要で、かつ由々しき問題であると思います。
将棋というジャンルが、いつか終焉を迎えるかもしれない、という恐れがそこに垣間見られるからです。
チェスが、囲碁が、連珠が、はさみ将棋が、ずっとさらされてきた問題。
将棋は持ち駒が使える関係で、多分大丈夫とたかをくくってきた問題。
要点だけを書きましょう。
プロ限定で考える場合。はたして勝負はこれからどうやって決まるのか?
①→②→③の経過をとると考えられます。
①棋戦で対戦相手が藤井聡太だったら、負け!
(以前、某棋戦の解説で、「どの手が敗因?」「相手が藤井くんだったから!」と言ったプロがいます。まあ、正直だ。)
②振り駒で後手を引いたら負け!
(相居飛車の将棋は、先手必勝定跡が発見されても不思議ではない。これに対しては飛車を振る、という寝技に持ち込んで非決定勝負化を図るという策がある。女流棋戦はなぜあんなに飛車を振るのか。なぜ藤井は絶対に振らないのか。先手にならないと負けなら、勝負はじゃんけんと同じです。)
③将棋を指したら引き分け!
(②を回避するために先後2局をセットにして1ゲームとしたり、囲碁みたいに微妙な量的ハンデを後手に付けられない限り、両者最善を尽くすと先日手あるいは持将棋引き分け・無勝負となる。)
この②なら、じゃんけん(振り駒といいます)みたいな能力で勝負が決し、③まで来てしまうと、もはや勝負として成り立たなくなってしまうので、将棋というゲーム自体がいずれ終焉するでしょう。
少なくともプロの将棋はね。
それは困る、と藤井聡太は考えているのか、そうなったら将棋は辞めると考えているのか。
昨今の相居飛車の将棋って、江戸時代の相がかりとか、むしろチェスの急戦に雰囲気が似てますものね。
最短手順でしのぎを削る。攻撃第一。戦闘機の空中戦みたい。
もたれて指して、「間違えてくれれば、勝ち!」なんて考えないもの、藤井聡太は。
そこで俄然、振り飛車戦法のカムバックが起こるのですね。
「人間はミスをする動物である」という哲学に立つ、やたら現実主義的昭和大作戦。
大狸・故大山15世と藤井聡太のタイトル戦なんか観たかったなあ。
さて、この人。
将棋界の延命に尽力する、人類代表の一人、しかも振り飛車党。
かつて、こう言った人。しかもこの前の順位戦もいきなり藤井を負かしました。
「藤井さんの将棋は、まったく好きではありませんね」
「藤井さんの序盤の一手は、どこまで自分の力で考えたものといえるのか。私も含めて、若手はコンピュータを研究に使わざるをえない世代です。でも多くの棋士はコンピュータに言われたとおりにやっているだけ。それだと個性がなくなり、ファンから飽きられてしまう。羽生世代は、一手への理解の深みが違う」
「詰将棋の計算力は、彼のほうが私の10倍は速いでしょう。でも、実戦ははるかに複雑で、直感が求められる。どこまで読んでいるかなんて、数値で証明できない。証明できないものを恐れる必要はない」
イキって言ったのではなく、真面目に前向きに言ってくれたのですが、その後の破竹の藤井フィーバーで、ちょっとかわいそうな感じになりました。
しかし、なかなかの好人物。将棋も強いし。
彼は、将棋界の近未来を占う、一つの焦点です。