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昨日のことですが、思い立って、鉄道博物館(てっぱく)に行きました。
ここを訪れるのは3回目かな。
ひさびさです。かなりリニューアルされて、充実しています。
前回はたしかナイトツアーみたいな、大人御用達のイヴェントだったなあ。
公式サイト:https://www.railway-museum.jp/
今回の目的は、
「ロイヤルエンジン」EF58形61号機。
観艦式のテーマのときに、「御召艦」という言葉がありましたが、その列車バージョンがあります。「御召列車」と呼ばれます。
天皇、皇后、上皇、上皇后、太皇太后、皇太后が使うために特別に運行される列車で、随員など以外の一般客は乗車できません。
てっぱくにはこの御料車もいろいろ保存・展示されています。これらは秋葉原駅に在った旧交通博物館時代から収蔵されていましたが、御召列車を牽引したEF58形の特別な電気機関車が収蔵されるのは今回初めてのことで、とても話題になっています。
御召列車を牽引した機関車は歴史上いろいろあるわけですが、とくに「ロイヤルエンジン」と称されて有名な電気機関車がこれなのです。
エントランスを入った案内所のすぐそばに設置されてます。
在籍していた田端運転所(現・尾久車両センター)を表す「田」、お召列車専用機であることを表す「御召」の札を側面に見ることができます。
EF58形61号機は、「お召し列車専用機」として日立製作所水戸工場で1953年に製造されました。それまでは蒸気機関車が用いられたり、一般の電気機関車が使用されていたようです。
国旗掲揚装置が取り付けられた車体正面から側面にかけてステンレス製の飾り帯が伸び、自動連結器や車輪側面などの足回りの一部が無塗装で銀色に研ぎ出されるなど、全172両が製造されたEF58形の中でも特別な一両です。予備機として60号機がありますが、これはもう引退・解体されています。
てっぱくには他に、御召列車仕様の蒸気機関車C51も展示されていますね。
昭和天皇・皇后が松山市で開催される第8回国民体育大会の開会式に臨席するのに合わせ、同年10月19日に東京〜名古屋駅間で御召列車牽引機としてのデビューを飾ります。
昭和末期から平成初期にかけては御召列車自体の運転機会が減少し、主に臨時列車やイヴェント列車の牽引機として使用されるようになりましたが、1996年には小山〜足利駅間、1999年には甲府〜原宿駅間で御召列車の先頭に立っています。
お召し列車としての最後の運用は2002年3月28日です。ノルウェー国王のハラルド5世夫妻と現在の上皇・上皇后陛下が乗車する御料車を引いて東京〜北鎌倉駅間を走ったのがその最後の雄姿。
1953年から2002年まで約半世紀にわたり、東は新潟、西は岩国まで90回以上の御召列車を牽引し、これは蒸気機関車のC51形239号機が牽引した104回に次いで多く、電気機関車の御召列車としては最多の運転回数を誇ります。
昭和天皇は、実はかなりの鉄道好きのかたで、87年8か月の生涯で、列車に乗車しなかったのは最後の昭和64年だけだったそうです。あらゆる種類の鉄道を乗り尽くしていて、最強の鉄道マニアの一人だったと言えますね。
総距離約24万キロの鉄道体験は、そのまま20世紀の日本の鉄道の歴史と言っても良いほどです。今上陛下も乗り物好きなので、その辺は御祖父様の血筋かも。
『昭和天皇実録』を丁寧に照覧して書かれた詳細な研究があります。
2008年4月1日に休車扱いとなってからは東京総合車両センター内に保管されていたものが、つい先日の10月30日、JR東日本から鉄道博物館に寄託されたのでした。
御召列車の我が国における歴史は古く、そもそも鉄道の始まりの時に遡ります。
明治5年(1872年)10月14日の鉄道開業時に明治天皇が乗車して以来ですから、今年が鉄道開業150年、まさに鉄道の歴史とともに走り続けている「特別列車」であると言えます。
そのあたりの詳しい研究は、この資料が参考になります。
ネット上にある、とても詳しいサイトはこちら。
元号が平成となってからは、鉄道ダイヤの変更などで、国民に負担を強いることを嫌う第125代天皇昭仁(現上皇)の意向やその他の事情によって、行幸は一般の定期列車や臨時列車の一部の車両や航空機(政府専用機、民間機)を利用することが多くなっています。
このため、専用車両を用いた御召列車が運行されることは少なくなっており、国賓の接待の一環など外交行事としての性格が強くなっています。
また、同じ理由で原宿駅側部乗降場(いわゆる宮廷ホーム)を使うことも減少し、これは2001年の使用を最後に現在は使用が停止されていて、駅舎の取り壊し・地所の自治体への返還の可能性がしばしば話題となります。
埼京線や湘南新宿ラインの本数も増え、ダイヤ上、御召列車がが割り込める隙間もないですし。
今回もいろいろ学びました。
やはり歴史というものは、物自体に触れることで、気持ちの中に入ってきますね。
「モノ」は、時間の墓碑銘、なのでしょう。
最後に、ロイヤルエンジンの前で記念写真に写る、にこたろう。