にこたろう読書室の日乗

死なないうちは生きている。手のひらは太陽に!

0450 起床 気分快 晴 エリザベス女王の奇妙な肖像画について。

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先日、厳粛にして壮大な国葬の行われた、エリザベス女王陛下。

ロンドンの空には二重の虹がかかり、お帽子姿を模したような瑞雲まで出現し、まさに神に愛された女王の名をほしいままに示されました。

 

ところで、若い人に聞くとピンとこないようなのですが、歴史上、エリザベス女王は二人、存在しました。

エリザベス2世(1926~2022)

在位期間が63年と216日、ヴィクトリア女王を抜いてイギリス史上最長在位の君主です。惜しくも世界最長とは言えないのですが。(ヒントは太陽君!)

 

エリザベス1世(1533〜1603)
「ザ・ヴァージン・クイーン(The Virgin Queen、処女王)」と称され、1558年〜1603年にかけてイングランドアイルランドを統治しその治世は”黄金時代”と称された初代エリザベス女王

 

世界史のテストに出たはずだけどなあ。

 

イギリスの(ていうかブリテン島の)王朝史はとても複雑・長大で、今回は尺の都合で踏み込みませんが、言いたいのは、この右側の1世の肖像画

 

教科書にも必ず載ってるとても有名な絵ですが、彼女のかなり攻めたファッション・モードもさることながら、そのとても目立つお化粧について考えます。

 

彼女をモデルとした実写版の映画作品がいくつかありますが、どれもがこのような極端な顔の白塗りと、真っ赤な口紅を再現しています。

 

彼女は父王ヘンリ8世が奥さんを強引に離縁して、その愛人と再婚した間柄に生れた娘ですが、父の死後、独身で王位につきます。

とても意志の強い、優れた政治的手腕があったからですが、当然敵も多いし、苦労を抱え込むことにもなります。

女王即位から4年が経った1562年、当時まだ29歳のエリザベス1世は、激しい高熱にうなされ、一時寝たきりの状態になりました。診断の結果、彼女は「天然痘」に感染していることが判明します。

幸い一命を取りとめたものの、顔を含む全身に病痕や傷跡が無数に残ってしまったのです。これは、女性としても一番辛い。しかも、女王としての尊厳にも関わると考えた彼女は、人一倍厚い白塗りのお化粧をし、元気の象徴としての赤い口紅を、寝る間も落とさずに過ごしたということです。

女王が愛用した「ヴェネチアン・セルーズ(Venetian Ceruse)」と呼ばれる人気の化粧品。
上流貴族もこぞって愛用した美白化粧品で、皮膚の傷跡を隠すためにも使われたものです。

 

じつは、これは原料に「鉛白(えんぱく)」という白色顔料が使われていました。鉛白は今では有毒な化学物質であることが知られており、鉛中毒を起こして、抜け毛や肌の劣化を招きます。

 

口紅の染料には辰砂(しんしゃ)が使われており、これは毒性の高い「水銀」を主成分とする鉱物です。

 

「無理してでも美しく」の本音が、彼女の精神面をも蝕んでいったのではないか、と言われています。女王としての責務を全うしたい、という強い意志のもとで。

 

このように、昔はお化粧(美容)と健康は、しばしば相反するものだったようですね。

現在はどうなのかな。

過度なダイエットや、強引な美容整形術みたいなものは、やはり健康と二律背反するものかもしれません。

 

そうではなく、美容と健康(医療)は両立するのではないか?

むしろ健康であるほうが美しい、美容を医療の範疇で考える、みたいな方向に、これからの美容は向かうのかもしれません。

 

男子も普通にお化粧をし美容整形をし日傘をさす時代です。

昔は美容整形を受ける人は若い女性だけでしたが、今では「男性も美しくあるべき」という考え方を持つ男性や「老後を美しく、良く生きる」という考えを持つ高齢者による美容整形も増えています。

 

美は健康と両立し、むしろ健康を後ろから支えるという感性の時代が来ているのかもしれません。

それはそれで、楽しみなことですね。