にこたろう読書室の日乗

死なないうちは生きている。手のひらは太陽に!

0530 起床 快晴 気分快 緊急入院後の経過について

未明 0130 隣室の物音で目覚める。病院の夜は、いろいろな音がします。病院と学校と動物園は、夜が面白いですね。窓が明るくなって6時前に起床。

夜明けの病室の窓

この部屋は地上8階にある個室なのですが、朝は窓から陽の光が射します。自宅の寝室はこういうことはないので、なんか新鮮です。日の出とともに起きるのは、大半の生き物にとっては自然でしょう。

ちなみに、自宅ベッドルームはこんな感じ。この部屋もすでに83日も帰っていないことになります。

寝室

窓の下には歩道橋と道を挟んでTOCのビルが見えます。来年から建て替えに入るそうです。長いつきあいの友人の八木原君が必要物品のお届けと差し入れに来てくれたとき、この橋の上に来てもらって窓から挨拶しました。

窓下の光景

窓からお手ふりをする僕

入院期間中、病院関係の人以外に会ったのは、妹氏と彼の二人だけです。現在の我が国のコロナ禍の状況にあって、面会や手続きすら対面接触できないのは、どの病院施設も同じでしょう。今回、僕が重篤で院内死亡していたら、誰もいない自宅に骨壺が宅配されて、受取人が居ないので不在票扱いとなっていたことでしょう。これは、決して冗談ではありません。

今回は、緊急搬送からICUに収容されたその後の様子を、思い出しておきます。すぐ忘れてしまうので。なんといっても人生初めての入院体験で、もの珍しいことばかりです。

血圧を下げる点滴とか、各種バイタルセンサーとか、導尿管とバルーンみたいなやつとか、いろいろ装着。導尿管は変な体験。痛いといえば痛いかな。ずいぶんフェチ!あんまり好きにはなれないなあ。

オムツみたいな紙製パンツ。これも僕はできないなあ。この時期はさすがに記録も写真もありません。あとから思い出してます。なんといっても起き上がろうとすると眩暈がぐるぐる、片方の目を閉じないと、ものがまともに見えないし。全身の体表が痺れていて、横を向いて寝るのも苦痛。いつもアイスノン枕をしていました。多少痺れがやわらぐかな。

出血で脳が腫れて壊れる(脳ヘルニア)という可能性は低かったので、頭蓋骨を開ける手術は回避。
そうなると血圧をコントロールして、再出血を監視する以外これといった治療はありません。脳卒中というのは病気というより血管の怪我みたいなものですから、安静にして様子を見るのです。僕は以前、ラクーナ脳梗塞というのになってその時は入院せずに返されたので、知っています。

4日目、車椅子でお通じに連れて行ってもらいました。このとき車椅子を自分で漕いだりしたので、妙に元気な患者!と思われたらしいです。ついでに言うと、搬送時からやたら先生に質問したり、「脳幹じゃあ、大変だ!」とか感想を述べたりしたので、2回くらい「医療関係者ですか?」と聞かれました。とても面倒な患者様ですねえ。

このあたりですでに10名を超える看護師のお姉さんたちに、いろいろお世話になりました。名前とお顔を覚えて、名前でお呼びかけをするのが礼儀であると考え、そうしました。手掛かりがないと記憶が定着しないので、お住まいや出身地などの話題でお話をしました。友人が勤務している高校の出身だとか、旧同僚が担任だったとか、びっくりするようなことが満載で、人の世は飽きません。まあ、仕事柄いつもしていることですが、若い女性ばかりだということも前のめりになる一因でしたね。

入院5日目が初めての朝ごはん。全粥というか、移行食?

お粥主体の病人食

なかなか美味しく食べられました。でもこのあと、ずっとお粥が続いて、たまに食べない時もあって、そのせいか一週間くらいで体重が7キロ減りました。この日に初めてのレンタル寝巻の着替え。

左の耳が聞えが悪いです。音量半分以下かな。発作の時は両耳とも聞えなくなり、自分の声は骨伝導で頭の中から聞えたのですが。ベッドのわきに、コロナ対策としての換気装置があって、これがずっと低周波でうなり続けているのですが、夢うつつで聴いていると、なんとなく男声合唱に聴こえてくる。初めて聞くメロディで、採譜できれば記念になったかな。

ブラームスのドイツレクィエムとか、ショスタコーヴィチの「バビヤール」みたいだな、と思いました。「バビヤール」については、このあと世界を揺るがすことになる事件と不思議な符合をすることになるのですが、それは別の機会に。

前にも少し触れましたが、今回の発作は脳幹と脳の右の橋(きょう)部分の出血です。実際のMRI画像を貼っておきましょう。

これは頭蓋を下から撮影しています。脳幹とは脳の最も奥の中央部にある、杖のような基本的な部分。一番古い脳なので、生物としての心肺機能や各種感覚など、生命の維持に必要な基礎的な機能を司っています。なので当たり所が悪いと、一発アウトとなりかねない。

画像中央でぼやんとしているのが出血部分です。ここの血管が、何らかの劣化と血流圧力の作用で切れて、出血したというわけですね。そして周囲の神経細胞を圧迫あるいは損傷している。顔面の神経である三叉神経や目を動かす3本の神経、聴覚神経などがここを通るので、いろいろさしさわりがあるわけです。また橋はバランス感覚をつかさどるので、スタビライザが不調な感じになり、身体を動かすとふわふわします。交差麻痺といって、右側の損傷が身体の左側に影響します。麻痺は運動の失調で、痺れは感覚の失調ですから、僕の場合は後者がメインです。どっちが良いとも言えないなあ。